ラグビーのオフサイド、再開方法や基本ルールをやさしく解説

ラグビーのオフサイド、再開方法や基本ルールをやさしく解説
ラグビーのオフサイド、再開方法や基本ルールをやさしく解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合を観ていて、「あれ、今なんで笛が鳴ったんだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?その理由として非常に多いのが「オフサイド」です。ボールよりも前にいる選手がプレーに関与してしまうこの反則は、初心者にとっては少し複雑に感じるかもしれません。しかし、オフサイドが起こった後の「再開方法」を知ることで、チームの戦術や試合の流れが驚くほどよく分かるようになります。

この記事では、ラグビーにおけるオフサイドの再開方法を中心に、基本的なルールや状況ごとの違いを分かりやすく解説します。専門用語にはやさしい補足を加えていますので、ラグビーのルールをこれから覚えたい方も安心して読み進めてください。試合中の「なぜ?」が「なるほど!」に変われば、観戦の楽しさは何倍にも広がります。

オフサイドの再開方法とは?4つの選択肢で戦術が変わる

ラグビーにおいて、オフサイドは「ペナルティ(重い反則)」に分類されます。そのため、オフサイドをされた側のチーム(反則をしていないチーム)には、試合を再開するための非常に有利な権利が与えられます。ここがラグビーの面白いところで、再開方法は一つではなく、キャプテンの判断で4つの選択肢から選ぶことができるのです。それぞれの選択肢には明確な狙いやメリットがあります。

1. タッチキックで陣地を大きく回復(マイボールラインアウト)

最も頻繁に選ばれる再開方法の一つが、タッチキック(ペナルティタッチ)です。これは、ボールをフィールドの外(タッチラインの外)に蹴り出すプレーです。通常、ボールを外に出すと相手ボールで再開されますが、ペナルティで得たキックの場合は、蹴り出した地点で「マイボールのラインアウト」として再開できるという特別なルールがあります。

この選択肢の最大のメリットは、陣地を大きく前進させられることです。自陣深くに攻め込まれてピンチの時は危機を脱出できますし、敵陣であればゴールライン近くまで一気に攻め込み、トライのチャンスを作ることができます。キッカーは全力で遠くへ蹴り出し、フォワードの選手たちは次のラインアウトに向けて準備を整えます。観客としても、ボールが美しい放物線を描いて大きく前進するシーンは、反撃の狼煙(のろし)として非常に盛り上がる瞬間です。

2. ペナルティゴール(PG)で確実に3点を狙う

2つ目の選択肢は、ゴールポストに向かってキックを蹴る「ペナルティゴール(PG)」です。このキックがH型のゴールポストの間を通過すれば、チームに3点が入ります。トライ(5点)には及びませんが、確実に得点を積み重ねることができるため、接戦の試合では非常に重要な選択肢となります。

特に、相手の反則がゴールポストの正面や比較的近い位置で起きた場合に選択されることが多いです。また、試合終了間際で「あと3点あれば逆転できる」という場面や、「まずは先制して試合の流れを掴みたい」という序盤にもよく選ばれます。キッカーが慎重にボールをセットし、スタジアム中が静まり返る緊張感は独特のものがあります。ショットを選択する際、キャプテンは指でゴールポストを指差すジェスチャーをしてレフェリーに伝えます。

3. あえてスクラムを選択してフォワードで勝負する

3つ目の選択肢は「スクラム」です。ペナルティキックの権利があるにもかかわらず、あえてスクラムを選ぶことには明確な戦術的意図があります。これは主に、自分たちのフォワード(FW)の力が相手よりも勝っていると判断した場合や、ゴールラインまであと少しの距離(5メートルなど)に迫っている場合に選ばれます。

スクラムで相手を押し込むことができれば、相手のフォワード陣の体力を奪うことができますし、さらに相手がスクラムを崩す反則を犯せば「認定トライ(ペナルティトライ)」という7点を獲得できるチャンスも生まれます。また、スクラムを起点にバックス(BK)がサインプレーを仕掛けるスペースを作りやすいというメリットもあります。力と力の真っ向勝負を選んだ瞬間、会場のボルテージも一気に上がります。

4. 意表を突く「クイックタップ」で速攻を仕掛ける

4つ目の選択肢は、ボールをちょんと足で蹴って自らキャッチし、そのまま走って攻める「クイックタップ(またはタップキック)」です。これは、相手チームの守備陣形が整っていない隙を突くための奇襲攻撃のようなものです。レフェリーが笛を吹いた直後、相手選手がまだ自陣に戻りきれていない瞬間に仕掛けることで、一気にゲイン(前進)を狙います。

このプレーは、点差が開いていて早く得点が欲しい場合や、時間がない終盤、あるいは相手が油断していると判断された時に見られます。成功すればビッグゲインにつながりますが、孤立してボールを奪われるリスクもあるため、判断力とスピードが求められる選択です。小柄なスクラムハーフやウイングの選手がこの判断をして、巨大な相手選手の間をすり抜けていく姿は爽快です。

一般的なオフサイドと「ボールより前」の基本ルール

再開方法が分かったところで、そもそも「どのような状態がオフサイドなのか」という基本ルールを整理しておきましょう。ラグビーの原則は「ボールを持っている人より後ろにいる選手だけがプレーできる」という点にあります。この原則を理解していれば、複雑そうに見えるオフサイドの判定も、実はシンプルに見えてきます。ここでは、オープンプレー(流れの中でのプレー)における基本的なオフサイドについて解説します。

ボールより前にいる選手の動きと制限

ラグビーにおいて、ボールを持っている味方選手よりも相手側の陣地(前方)にいる選手は、基本的にプレーに参加する資格がありません。この状態を「オフサイドの位置にいる」といいます。ただ前にいるだけで即座に反則になるわけではありませんが、その位置にいる選手がパスを受けたり、相手の邪魔をしたり、ボールに関与しようとした瞬間に「オフサイド」の反則が取られます。

例えば、味方がキックをした時、キッカーよりも前にいた選手は、キッカーまたはオンサイド(ボールより後ろ)の味方に追い越されるまでプレーしてはいけません。初心者がよく見るシーンとして、キックが蹴られた瞬間に前方にいる選手たちが一斉にその場で立ち止まったり、手を挙げて「自分はプレーしません」とアピールしたりする光景がありますが、これは自分がオフサイドの位置にいることを理解しているためです。

プレーに関与してはいけない「オフサイドライン」

オフサイドかどうかの境界線となるのが「オフサイドライン」です。このラインはグラウンドに白線が引かれているわけではなく、プレーの状況に応じて目に見えない線として常に移動します。オープンプレー(通常のパス回しやラン)においては、ボールがある地点が基準となりますが、ラック(地面でのボールの奪い合い)やモール(立ったままの密集)が形成されると、その密集の最後尾がオフサイドラインになります。

守備側のチームは、このオフサイドラインよりも後ろに下がって防御網を敷かなければなりません。もしラインを超えて前に出てしまっている状態でタックルに行ったりパスをカットしたりすると、防御側のオフサイドとなります。テレビ中継などで、解説者が「今のディフェンス、飛び出しが早かったですね」と言うことがありますが、これはオフサイドラインを超えてフライング気味に守備をしてしまったことを指しています。

キック時の「10メートルルール」の適用

キックを使ったプレーには、少し特殊なオフサイドのルールがあります。これを「10メートルルール(10条オフサイド)」と呼びます。味方がボールを前方にキックした際、そのボールが落下する地点から半径10メートル以内にいる味方選手(キッカーより前にいた選手)は、その場に留まるだけでは不十分で、ボールの落下点から10メートル離れるまで後退しなければなりません。

これは、ボールをキャッチしようとする相手選手に対する妨害を防ぐためのルールです。もし後退せずに相手のキャッチを邪魔したり、その場に居座ってプレッシャーをかけたりするとオフサイドになります。ハイパント(高く蹴り上げるキック)の場面などでよく発生する反則です。レフェリーは「下がれ!」とジェスチャーで指示を出すことが多いので、その動きにも注目してみましょう。

セットプレー(スクラム・ラインアウト)でのオフサイド

ラグビーの試合再開の起点となる「セットプレー」。具体的にはスクラムとラインアウトのことを指しますが、ここにも厳格なオフサイドラインが存在します。セットプレーは両チームが整列して行われるため、オフサイドラインの位置が視覚的に分かりやすいのが特徴です。しかし、ほんの少しの飛び出しが大きな反則につながるため、選手たちは神経を使っています。

スクラム時のバックスのオフサイドライン

スクラムが行われている間、スクラムに参加していないバックスの選手たちには明確なオフサイドラインが設定されています。それは「スクラムの最後尾(通常はナンバーエイトの足)から5メートル下がった位置」です。この5メートルの距離を守らずに前に出てしまうとオフサイドになります。

スクラムハーフ(ボールを入れる選手)だけは例外で、ボールのラインに沿って動くことができますが、それ以外のバックス陣は、レフェリーが「スクラム終了」と判断するか、ボールがスクラムから完全に出るまでは、この5メートルラインの後ろで待機しなければなりません。攻撃側は相手のプレッシャーを受けずに攻撃をスタートさせたい、守備側は少しでも早く前に出てプレッシャーをかけたい、という心理戦がこの5メートルの空間で行われています。

ラインアウトでの10メートルラインの攻防

ラインアウト(タッチラインからのスローイン)の場合、オフサイドラインは「ラインオブタッチ(選手が並んでいる線)から10メートル下がった位置」になります。ラインアウトに参加しない選手たちは、ボールがラインアウトから離れるか、ラインアウトが終了するまで、この10メートルの距離を保たなければなりません。

もし守備側の選手が、ボールが投入される前にじりじりと前に出て10メートル以内に入ってしまうと、オフサイドの反則を取られます。逆に攻撃側も、ラインアウトが解消される前にバックスが不用意に近づきすぎると反則になります。この広いスペースがあるからこそ、バックスがスピードに乗って走り込むサインプレーなどが可能になるのです。レフェリーが手を広げて選手たちを下げさせているシーンは、この距離を管理している瞬間です。

サインプレー時の飛び出し注意点

セットプレーからの攻撃は、事前に練習したサインプレーの見せ場です。しかし、複雑な動きをしようとするあまり、オフサイドの反則を犯してしまうこともあります。例えば、ラインアウトからモールを作ると見せかけてバックスに展開する場合など、タイミングを誤ってラインアウト終了前にバックスが前に出てしまうケースです。

また、ゴール前5メートルでのスクラムやラインアウトの場合、守備側のオフサイドラインはゴールライン上になります(ゴールラインより後ろには下がれないため)。この状況では、守備側はゴールラインに足をかけてスタートの合図を待ちます。トライを防ぐために一瞬でも早く飛び出したい気持ちと、オフサイドを犯してさらに不利な状況になるのを避けたい心理との葛藤が見られる、非常にスリリングな場面です。

ラックやモールにおけるオフサイドの境界線

試合中に最も頻繁に発生するのが、タックル後のボール争奪戦である「ラック」や、立った状態で押し合う「モール」でのオフサイドです。これらの密集戦は動きが激しく、選手も入り乱れているため、どこまでがセーフでどこからがアウトなのか、初心者には見分けがつきにくい部分です。しかし、ここには「ゲート」と呼ばれる明確なルールの概念が存在します。

「最後尾の足」がオフサイドライン

ラックやモールが形成された時、その密集に参加している味方の中で、一番後ろにいる選手の「最後尾の足」がオフサイドラインの基準になります。この足の位置から横に引いた想像上の線がオフサイドラインとなり、密集に参加していない選手は必ずその後ろで待機しなければなりません。

このラインは密集が移動したり、選手が入れ替わったりするたびに刻一刻と変化します。守備側の選手は、常に一番後ろの足を見極め、そこから出ないように細心の注意を払っています。「オンサイド(適正な位置)」にいなければ守備ができないため、選手たちは密集を見ながら常に「下がれ、下がれ」と声を掛け合ってラインを統率しています。

ゲートを通らない横からの参加は反則

ラックやモールに参加してボールを奪いに行こうとする場合、選手は必ず「ゲート」と呼ばれる入り口を通らなければなりません。ゲートとは、密集の最後尾の幅のことです。自分の陣地側から、このゲートを正対して通過し、真っ直ぐに密集に入ることが求められます。

もし、横から回り込んでボールに働きかけたり、相手側の横から入ってプレーを妨害したりすると、オフサイドの反則となります。これを防ぐために、レフェリーは「サイドエントリー(横から入っているぞ)」と声をかけることもあります。正々堂々と後ろから押し込むことがラグビーの美学であり、ルールでも厳しく定められているのです。

ピラーとポストの役割と反則

ラック周辺の守備には、「ピラー(柱)」や「ポスト」と呼ばれる役割の選手がいます。ラックのすぐ脇に立つ選手たちのことで、相手がラック脇を突いてくる攻撃を防ぐ重要な役割を担っています。しかし、彼らもまたオフサイドラインを厳守しなければなりません。

ラックの真横に立っている彼らは、ほんの少し足が前に出るだけでオフサイドになってしまいます。特に相手がボールを持ち出す瞬間に焦って飛び出してしまうことがよくあります。レフェリーはラック周辺の選手の足元を非常に厳しく見ており、ここでの数センチの攻防が勝敗を分けることも少なくありません。

レフェリーが「ハンズアップ」と言う意味

ラック周辺でレフェリーが選手に向かって手を挙げさせたり、「ハンズアップ!」と言ったりするシーンを見ることがあります。これは、ラックに参加している選手や近くにいる選手に対して、「手を使うな(ボールに触るな)」という警告、あるいは「自分はプレーに関与していません」とアピールさせるためのものです。

ラックでは、基本的に手を使ってボールを拾うことは禁止されています(ボールが出るまでは足で扱うか、押し合うのみ)。また、倒れている選手がボールの出を邪魔しないように手を挙げることもあります。これらの動きも、広義の意味で不正なプレー(オフサイド的な位置でのプレー関与)を防ぐためのレフェリーとのコミュニケーションの一つと言えます。

偶発的なオフサイドと特殊なケース

ここまで解説したオフサイドは「ペナルティ」となる重い反則ですが、ラグビーには「うっかり」やってしまった軽いオフサイドも存在します。それが「アクシデンタルオフサイド(偶発的なオフサイド)」です。この場合、再開方法がペナルティキックではなく「スクラム」になるという大きな違いがあります。この違いを知っておくと、レフェリーの判定の意味がより深く理解できます。

味方に当たってしまった「アクシデンタルオフサイド」

アクシデンタルオフサイドとは、ボールを持った選手が、自分の前にいる(オフサイドの位置にいる)味方選手に偶然ぶつかってしまったり、キックしたボールがたまたま前にいる味方に当たってしまったりするプレーのことです。意図的ではなく、あくまで偶然の事故として扱われます。

通常、オフサイドの位置にいる味方を使えば有利になりますが、このようにぶつかってしまってプレーが止まった場合、攻撃側が有利になったわけではありません。そのため、ペナルティのような重い罰則ではなく、単にプレーを再開するための手続きとして処理されます。

この場合は「スクラム」で再開される

アクシデンタルオフサイドが起きた場合、相手チーム(反則をしていない側)のボールでスクラムを組んで試合再開となります。ペナルティキックのように「タッチに出して大きく前進」や「ショットで3点」という選択肢は与えられません。

ただし、相手チームにとっては「相手のミスでマイボールスクラムをもらえた」という状況なので、チャンスであることに変わりはありません。観戦中に「あれ、オフサイドなのにペナルティじゃなくてスクラム?」と思ったら、それはレフェリーが「今のプレーは偶然だった」と判断したということです。

ノックオンオフサイドの処理

似たようなケースとして「ノックオンオフサイド」があります。味方がボールを前に落とす(ノックオン)ミスをし、そのボールを前にいた味方選手が触ってしまった場合です。これも基本的にはオフサイドの反則ですが、プレーの流れや悪質性によって、単なるスクラムでの再開(ノックオンとしての処理)になるか、ペナルティになるかが分かれます。

レフェリーは「そのプレーによって不当に利益を得たか」「わざとプレーしたか」を瞬時に判断しています。もし、ノックオンしたボールをオフサイドの位置の選手が拾ってそのままトライしたような場合は、当然ペナルティとなりますが、反射的に触れてしまった程度であればスクラムで再開されることが一般的です。

まとめ

まとめ
まとめ

ラグビーのオフサイドは、初心者にとって最初は難しく感じるかもしれませんが、「ボールより前にいる選手はプレーできない」という大原則さえ覚えておけば、基本はバッチリです。そして何より重要なのが、オフサイドが起きた後の「再開方法」です。

【オフサイド後の主な再開オプション】

タッチキック:大きく陣地を挽回し、マイボールラインアウトへ。

ペナルティゴール(ショット):確実に3点を狙う。

スクラム:FWの力勝負を選び、押し込む。

クイックタップ:相手の隙を突いて速攻を仕掛ける。

※「アクシデンタルオフサイド(偶然の接触)」の場合は、ペナルティではなく相手ボールのスクラムで再開されます。

試合を観戦する際は、レフェリーが笛を吹いて手を斜め上に挙げた時(ペナルティの合図)、キャプテンがどの再開方法を選ぶかに注目してみてください。「ここは手堅く3点を取りに行ったな」「強気にスクラムでトライを狙うのか!」といったチームの意思が見えてくると、ラグビー観戦の面白さは格段に深まります。ぜひ、この再開方法の駆け引きを楽しんでみてください。

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