デッドボールラインを超えたらどうなる?初心者のためのラグビー・ルール解説

デッドボールラインを超えたらどうなる?初心者のためのラグビー・ルール解説
デッドボールラインを超えたらどうなる?初心者のためのラグビー・ルール解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合を観戦していると、選手が大きくボールを蹴りすぎてしまい、コートの一番奥にあるラインを超えてしまうシーンを目にすることがあります。「あっと、蹴りすぎた!」と観客席から声が上がる瞬間ですが、その後どのような方法で試合が再開されるのか、詳しく知っていますか?

実は、ボールがこの「デッドボールライン」を超えたとき、それが「誰が蹴ったのか」「どうやって超えたのか」によって、再開方法が大きく変わるのです。時には攻撃側に有利なスクラムになったり、防御側に有利なドロップアウトになったりと、その判定は試合の流れを左右する重要なポイントになります。

この記事では、ラグビー観戦初心者の方に向けて、ボールがデッドボールラインを超えたときのルールをやさしく、詳しく解説します。複雑そうに見える再開の選択肢も、基本さえ押さえれば「なるほど、だからこのプレーを選んだのか!」と、観戦の楽しさが倍増しますよ。

  1. デッドボールラインを超えたら試合はどう再開される?基本のルール
    1. デッドボールラインとはどこのライン?
    2. ボールがラインを超えた瞬間にプレーは止まる
    3. 誰が最後に触ったかで再開方法が変わる
  2. 攻撃側のキックがデッドボールラインを超えた場合
    1. 地面に触れずに直接ラインを超えたとき
    2. 地面に転がってラインを超えたとき
    3. 防御側が触ってからラインを超えたとき
    4. ドロップゴールを狙って外れて超えたとき
  3. 防御側がボールをデッドボールラインの外に出した場合
    1. キャリーバックとは?自ら持ち込んでしまった場合
    2. 相手のキック処理で勢い余って出た場合
    3. 故意にボールを外に出したときのペナルティ
  4. 「22メートルドロップアウト」と「スクラム」の選択権
    1. 攻撃側が蹴り込んだ場合は防御側に選択権がある
    2. 22メートルドロップアウトのやり方と位置
    3. センタースクラムが選択されるケース
    4. 選択における戦術的なメリットとデメリット
  5. よくある勘違い?「ゴールラインドロップアウト」との違い
    1. ゴールラインドロップアウトが適用される場面
    2. デッドボールライン越えとインゴール内での停止の違い
    3. 観戦時に見分けるためのポイント
  6. まとめ
  7. ドロップアウトとは?再開方法の基本を知ろう
    1. ドロップキックで試合を再開するルール
    2. 試合の流れを変える重要なリスタート
    3. 再開位置は2種類あることを理解する
  8. 「ゴールラインドロップアウト」になる具体的なケース
    1. 攻撃側がインゴールでグラウンディングできなかった場合
    2. 攻撃側のキックを守備側がインゴールで押さえた場合
    3. インゴールでのノックオンが発生した場合
  9. 「22メートルドロップアウト」になる具体的なケース
    1. ペナルティゴールやドロップゴールが失敗した時
    2. 22メートルラインからの戦術的な選択
    3. 通常のキック処理との混同に注意
  10. 間違いやすい「キャリーバック」との違い
    1. 守備側が自ら持ち込んだ場合は「5メートルスクラム」
    2. 「誰がボールを入れたか」が見分ける鍵
  11. ドロップアウトの実行ルールと反則
    1. 蹴る位置と相手チームの立ち位置
    2. 必ず越えなければならない距離
    3. 直接タッチに出た場合(ダイレクトタッチ)
  12. まとめ:ドロップアウトの再開方法を整理して観戦を楽しもう

デッドボールラインを超えたら試合はどう再開される?基本のルール

まず最初に、ラグビーのフィールドにおける「デッドボールライン」の位置と、ボールがここを超えたときの基本的な考え方について解説します。ラグビーにはたくさんのラインが引かれていますが、このラインはフィールドの「行き止まり」を意味する重要な境界線です。

デッドボールラインとはどこのライン?

デッドボールラインとは、ゴールポストが立っている「ゴールライン」のさらに奥、インゴールエリア(トライできる場所)の最後尾にあるラインのことです。フィールドの長辺に引かれた「タッチライン」とは異なり、短辺の最も端にあるラインを指します。

ラグビーのフィールドは、ゴールラインからデッドボールラインまでの範囲を「インゴール」と呼び、この広さはスタジアムによって多少異なります(通常10メートルから22メートルの間)。攻撃側はこのインゴールを目指して走り、防御側はここを守ります。デッドボールラインは、いわば「プレーできる限界の線」であり、ここを超えるとプレーエリア外となります。

ボールがラインを超えた瞬間にプレーは止まる

ボールまたはボールを持った選手がデッドボールラインに触れるか、それを超えた場合、その瞬間にプレーは中断されます。これをラグビー用語で「ボールデッド」と呼びます。

タッチライン(横のライン)から出た場合は「ラインアウト」という独特のセットプレーで再開されますが、デッドボールライン(奥のライン)を超えた場合は、ラインアウトにはなりません。状況に応じて「スクラム」や「ドロップアウト」といった方法で試合が再開されます。

この「ボールが死んだ(デッドになった)」状態になったとき、レフリーは笛を吹き、次の再開方法をジェスチャーで示します。観戦中は、レフリーがどちらのチームの手を挙げているか、あるいはどの場所を指しているかに注目すると、次のプレーが予測しやすくなります。

誰が最後に触ったかで再開方法が変わる

デッドボールラインを超えたときの再開方法を決める最大の要因は、「最後にボールをどう扱ってラインを超えたか」「どちらのチームが持ち込んだか」です。

ラグビーには「自分たちでボールを外に出してプレーを切る」ことに対するペナルティのような考え方と、「相手に押し込まれて出された」場合の救済措置のような考え方が混在しています。そのため、以下のようなポイントで判定が分かれます。

判定のポイント

・攻撃側がキックして超えたのか?
・防御側が持ち込んで出したのか?
・攻撃側の選手が走り抜けてしまったのか?

次からのセクションで、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

攻撃側のキックがデッドボールラインを超えた場合

試合で最もよく見られるのが、攻撃側の選手が前進を狙ってキックをし、それが勢い余ってデッドボールラインを超えてしまうケースです。テリトリー(陣地)を挽回しようとしたり、相手の背後のスペースを狙ったりしたキックが長すぎた場合に起こります。

地面に触れずに直接ラインを超えたとき

攻撃側のプレーヤーが蹴ったボールが、インゴールエリア内の地面や他の選手に触れることなく、そのままデッドボールラインを越えて外に出てしまった場合。これはキックの力が強すぎた「ミスキック」とみなされることが多いプレーです。

この場合、防御側(蹴られた側)のチームには2つの選択肢が与えられます。

防御側の選択肢

1. スクラム:ボールが蹴られた地点で、防御側ボールのスクラムを組む。
2. 22メートルドロップアウト:自陣の22メートルラインからドロップキックで再開する。

多くのチームは、ボールが蹴られた地点でのスクラムを選択します。なぜなら、キック地点まで相手を戻すことで陣地を大きく挽回できるうえ、スクラムという攻撃の起点を得られるからです。特にキック地点がハーフウェイライン付近だった場合、一気に敵陣深くで攻撃権を得られる大きなチャンスとなります。

地面に転がってラインを超えたとき

キックしたボールがフィールド内でバウンドし、コロコロと転がってそのままデッドボールラインを超えてしまった場合も、基本的には「直接超えたとき」と同じルールが適用されます。

このケースでも、防御側のチームは「蹴った地点でのスクラム」か「22メートルドロップアウト」を選択できます。転がって出た場合、キックした選手としては「いいところに蹴ったつもりだったが、伸びすぎてしまった」という惜しい状況ですが、結果として相手に選択権を与えてしまうことになります。

ただし、最近のルール解釈や「50:22(フィフティ・トゥエンティトゥ)」という新ルールの影響で、キックのコントロールは非常に重要視されています。デッドボールラインを超えてしまうと、せっかくのチャンスがピンチに変わってしまうのです。

防御側が触ってからラインを超えたとき

攻撃側が蹴ったボールに対し、防御側の選手がキャッチしようとして触れ、その勢いでボールがデッドボールラインを超えてしまった場合はどうなるでしょうか。

この場合、最後に触れたのは防御側の選手ですが、その原因を作った(ボールを勢いよく蹴り込んだ)のは攻撃側であると判断されるケースと、防御側のミスと判断されるケースがあります。

もし防御側の選手がボールを確実に保持しようとしてミス(ノックオンなど)をして外に出たのであれば、攻撃側ボールのスクラム(ゴール前5メートル)になることが一般的です。しかし、単にボールが体に当たってそのままデッドラインを超えた場合など、状況によってはドロップアウトになることもあります。レフリーの判断が「キックの勢い」にあるのか「守備側のプレー」にあるのかが分かれ目です。

ドロップゴールを狙って外れて超えたとき

得点を狙う「ドロップゴール」や、ペナルティキックでのゴール狙いが外れ、そのままボールがデッドボールラインを超えてしまった場合です。これは意図的なパスやパントキックとは区別されます。

ゴールを狙ったキックが外れてデッドボールラインを超えた場合は、防御側のチームによる「22メートルドロップアウト」で再開されます。この場合、蹴った地点でのスクラムという選択肢はありません。

攻撃側としては3点を狙ったチャレンジの結果なので、失敗しても相手にスクラムという有利な状況を与えずに済む、比較的リスクの低いプレーと言えます。そのため、試合終了間際などで点差がつまっているときは、積極的にドロップゴールを狙うシーンが見られます。

防御側がボールをデッドボールラインの外に出した場合

次は逆に、守っている側のチームが、自らボールをデッドボールラインの外に出すケースです。これはピンチを脱出するための緊急避難的なプレーとして行われますが、その代償として相手に有利な再開方法が与えられます。

キャリーバックとは?自ら持ち込んでしまった場合

防御側の選手が、フィールド(インゴールより前のエリア)にあったボールを自らインゴールに持ち込み、そのままデッドボールラインの外に出したり、インゴール内でボールを押さえたりするプレーを「キャリーバック(Carry Back)」と呼びます。

「自分たちで持ち込んで、自分たちでプレーを切った」とみなされるため、このプレーに対する再開方法は防御側にとって非常に厳しいものになります。再開位置は、ゴールラインから5メートル手前の地点での相手ボールのスクラムです。

ゴール前5メートルという、トライ目前の超至近距離で相手にスクラムを与えることになるため、キャリーバックは「絶体絶命のピンチ」を招くプレーと言えます。選手たちはこれを避けるため、可能な限りインゴール外に蹴り出すか、持ち込まずに処理しようとします。

相手のキック処理で勢い余って出た場合

相手が蹴ったボールを自陣のインゴール内で処理する際、勢い余ってデッドボールラインを踏んでしまったり、超えてしまったりすることがあります。

この場合、重要なのは「ボールが既にインゴールに入っていたかどうか」です。相手のキックによってボールがインゴールに入り、それを防御側が取ってデッドラインを出た(または押さえた)のであれば、それは「相手が持ち込んだ」ことになります。

この場合はキャリーバックにはならず、「22メートルドロップアウト」(場合によっては後述するゴールラインドロップアウト)での再開となります。防御側にとっては、陣地を22メートルラインまで回復できるため、比較的安全な再開方法と言えます。

故意にボールを外に出したときのペナルティ

防御側の選手が、相手にトライされるのを防ぐために、手でボールをデッドボールラインの外へ故意に弾き出したり、投げ捨てたりした場合はどうなるでしょうか。

これは「故意にボールをデッドにする」という反則行為とみなされます。通常はペナルティキックが与えられますが、もしその行為がなければ間違いなくトライが決まっていたとレフリーが判断した場合、「ペナルティトライ(認定トライ)」が与えられることがあります。

ペナルティトライはゴールキックなしで自動的に7点が入り、さらに反則をした選手にはイエローカード(シンビン)が出されることも多いため、守備側にとっては最悪の結果となります。どんなにピンチでも、故意に外へ放り出すプレーは厳禁なのです。

「22メートルドロップアウト」と「スクラム」の選択権

先ほど説明した「攻撃側のキックがデッドボールラインを超えた場合」、防御側には再開方法の選択権が与えられることがあります。ここでは、その選択肢の意味と戦術的な違いについて深掘りします。

攻撃側が蹴り込んだ場合は防御側に選択権がある

攻撃側のキックが直接、あるいはバウンドしてデッドボールラインを超えた際、防御側は以下の2つから選ぶことができます。

選択肢1:スクラム
ボールを蹴った地点まで戻り、マイボール(防御側投入)のスクラムを組む。

選択肢2:22メートルドロップアウト
自陣の22メートルラインから、ドロップキックで試合を再開する。

観戦していると、選手たちが集まって話し合ったり、キャプテンがレフリーに合図を送ったりするシーンが見られますが、まさにこの選択を行っている瞬間です。

22メートルドロップアウトのやり方と位置

22メートルドロップアウトを選択した場合、防御側のチームは自陣22メートルラインの後方であれば、どの位置からでもキックができます。通常は、ボールを一度地面にバウンドさせて蹴る「ドロップキック」を用います。

この再開方法のメリットは、すぐにプレーを始められることと、キック力があれば一気にハーフウェイライン付近まで陣地を戻せることです。フォワードの選手が疲弊している場合や、相手のスクラムが強力で組みたくない場合には、このドロップアウトが選ばれる傾向があります。

センタースクラムが選択されるケース

一方、スクラムを選択するケースも非常に多いです。特に、相手がハーフウェイライン付近や自陣深めからキックを蹴っていた場合、「蹴った地点」でのスクラムは防御側にとって大きなチャンスになります。

一気に敵陣深くでマイボールスクラムを得られるため、そこからトライを狙うセットプレーを仕掛けることができます。「相手のミス(蹴りすぎ)を最大限利用して反撃する」という攻撃的な選択と言えるでしょう。

選択における戦術的なメリットとデメリット

どちらを選ぶかは、その時の試合状況や点差、天候によって変わります。

雨の日やグラウンド状態が悪い場合
スクラムは足元が滑りやすくリスクが高いため、ドロップアウトで安全に陣地を挽回することを選ぶチームが増えます。

スクラムに自信があるチームの場合
迷わずスクラムを選択し、相手フォワードに圧力をかけてペナルティを奪いに行きます。

負けていて時間がない場合
スクラムを組むには時間がかかるため、ドロップアウトですぐに再開し、ボールを展開する選択をすることもあります。

よくある勘違い?「ゴールラインドロップアウト」との違い

近年、ラグビーのルール改正により登場した新しい再開方法に「ゴールラインドロップアウト」があります。これが従来の「22メートルドロップアウト」やデッドボールラインを超えた時のルールと混同されやすいため、ここで明確に区別しておきましょう。

ゴールラインドロップアウトが適用される場面

ゴールラインドロップアウトは、主に以下のような場面で適用されます。

  • 攻撃側の選手がインゴール内で相手に捕まり、ボールを地面につけられなかった場合(ヘルドアップ)。
  • 攻撃側の選手がインゴール内でボールを前に落とした場合(ノックオン)。
  • 攻撃側のキック(ドロップゴール狙いなどを除く)を、防御側がインゴール内で押さえた場合(2021年以降の新ルール)。

これらはすべて、ボールが「インゴールの中に留まっている」状態でプレーが止まったケースです。

デッドボールライン越えとインゴール内での停止の違い

ここが最も重要な違いです。

明確な違い

ボールがデッドボールラインを超えて外に出た
→ 「22メートルドロップアウト」または「スクラム選択」
※攻撃側のキックが原因の場合

ボールがインゴール内に留まってデッドになった
→ 「ゴールラインドロップアウト」
※防御側がグラウンディングした場合やヘルドアップの場合

つまり、「ラインを超えてフィールドから消えた」なら従来のルール(22mドロップアウト等)、「フィールド内(インゴール)でプレーが詰まった」なら新ルール(ゴールラインドロップアウト)、と覚えると分かりやすいでしょう。

観戦時に見分けるためのポイント

テレビ観戦やスタジアムで「今のどっち?」と迷ったときは、レフリーと選手の立ち位置を見てください。

選手が22メートルライン(ゴールから少し離れた線)に並んでいたら、それは「デッドボールラインを超えた」ことによる22メートルドロップアウトです。

一方、選手がゴールライン(ゴールポストがある線)の真上に立ってキックの準備をしていたら、それは「ゴールラインドロップアウト」です。

この違いを知っているだけで、「あ、今はキックが伸びすぎたんだな」「今はディフェンスが粘ってトライを防いだんだな」と、状況を瞬時に理解できるようになります。

まとめ

ラグビーにおいて「デッドボールラインを超えたらどうなるか」は、誰がボールをどう扱ったかによって大きく結果が変わります。最後に、今回の解説の要点を振り返りましょう。

基本となるのは、攻撃側のキックがデッドボールラインを超えてしまった場合です。この時、守る側には「蹴った場所でのスクラム」か「22メートルドロップアウト」を選ぶ権利が与えられます。これは攻撃側の「蹴りすぎ」というミスに対するペナルティのような意味合いがあります。

一方で、防御側が自らボールを持ち込んでラインを出た場合(キャリーバック)は、ゴール前5メートルでの相手ボールスクラムという、非常に厳しい状況で再開されます。ピンチを脱しようとして不用意にボールを扱うと、逆に大ピンチを招いてしまうのです。

また、最近導入された「ゴールラインドロップアウト」は、ボールがラインを超えずインゴールに残った場合に適用されることが多く、デッドボールラインを超えたケースとは区別して覚える必要があります。

フィールドの一番奥にあるデッドボールライン。そこには、一発逆転のチャンスと、痛恨のミスが紙一重で存在しています。次に試合を観るときは、ぜひこのライン際の攻防にも注目してみてください。





ドロップアウト 再開方法

ラグビーのドロップアウト完全ガイド!再開方法と2つの種類をわかりやすく解説

ラグビーの試合を見ていると、激しい攻防の末に突然プレーが止まり、キックで試合が再開されるシーンに出くわすことがあります。特にゴール前での攻防後にレフリーが腕を上げ、守備側の選手がボールを持ってラインの後ろに下がる姿を見たことはないでしょうか。これが「ドロップアウト」と呼ばれる再開方法の一つです。

しかし、実はこのドロップアウトには「22メートルドロップアウト」と「ゴールラインドロップアウト」という2つの種類があることをご存じでしたか?さらに、よく似た状況でもスクラムになる「キャリーバック」というルールもあり、初心者の方にとっては少し複雑に感じるかもしれません。「なぜ今はスクラムじゃないの?」「どこから蹴るのが正解なの?」といった疑問を持つ方も多いはずです。

この記事では、ラグビー観戦初心者の方やルールを学び直したい方に向けて、ドロップアウトによる再開方法を基本から丁寧に解説します。2つのドロップアウトの違いや適用される具体的なシーン、そして観戦時に注目したいポイントまで、これを読めば試合の流れがより深く理解できるようになるはずです。

ドロップアウトとは?再開方法の基本を知ろう

ラグビーの試合には、スクラムやラインアウトといったセットプレー以外にも、キックを使って試合を再開する方法がいくつか存在します。その代表的なものがドロップアウトです。まずはこのプレーがどのようなものなのか、基本的な定義や仕組みについて確認していきましょう。

ドロップキックで試合を再開するルール

ドロップアウトとは、その名の通り「ドロップキック」を使って試合を再開させるプレーのことです。通常、試合の流れが止まった後に守備側のチームがボールを持ち、特定のラインの後方から相手陣地に向かってボールを蹴り込みます。これにより、攻め込まれていた守備側は陣地を回復し、再び攻撃の機会をうかがうことができます。

このときに使われる「ドロップキック」には厳格なルールがあります。ボールを手から離し、一度地面にバウンドさせてから蹴らなければなりません。サッカーのゴールキーパーが行うパントキック(手から離して地面につく前に蹴るキック)とは異なります。地面に一度ついた瞬間の難しいタイミングを捉えて蹴るため、高度な技術が必要とされます。

もしドロップキックを行わずに、地面につく前に蹴ってしまった場合は反則となり、蹴り直しや相手ボールのスクラムになってしまいます。選手たちはプレッシャーのかかる場面でも、この基本動作を正確に行うことが求められるのです。

試合の流れを変える重要なリスタート

ドロップアウトは単なる「再開の手順」ではありません。守備側にとっては、自陣ゴール前まで攻め込まれたピンチを脱出し、一気に陣地を挽回する絶好のチャンスとなります。一方で攻撃側にとっては、あと少しでトライが取れたかもしれない場面での中断となるため、非常に悔しい瞬間でもあります。

キッカーは、できるだけ遠くへ飛ばして陣地を稼ぐのか、それとも短く蹴って味方に競らせてボールを取り返すのか、瞬時に判断しなければなりません。相手チームもその意図を読み取り、ボールが蹴られる瞬間に備えてポジショニングを調整します。このように、ドロップアウトは試合の攻守が完全に入れ替わるターニングポイントになり得るのです。

再開位置は2種類あることを理解する

ドロップアウトについて理解する上で最も重要なのが、「どこから蹴るか」という点です。実は現在のラグビーのルールでは、再開位置によって以下の2種類に明確に分けられています。

1. 22メートルドロップアウト

自陣の22メートルライン上、またはその後方から蹴る方法。昔からある伝統的なルールです。

2. ゴールラインドロップアウト

自陣のゴールライン上、またはその後方から蹴る方法。2021年頃から試験導入され、正式採用された比較的新しいルールです。

この2つは名前が似ていますが、適用される条件や戦術的な意味合いが大きく異なります。観戦中に「あれ、なんで22メートルラインまで戻らないの?」と思ったときは、この「ゴールラインドロップアウト」が適用されている可能性が高いです。それぞれの違いを詳しく見ていくことで、ルールの全体像がはっきりしてきます。

補足:ドロップキックの難しさ

ラグビーボールは楕円形をしているため、地面に落としたときにどこへ跳ねるか予測がつきにくい性質があります。ドロップキックを成功させるには、ボールを落とす角度と蹴るタイミングを完璧に合わせる必要があります。プロ選手がいとも簡単に蹴っているように見えますが、実は非常に繊細な技術が詰まったプレーなのです。

「ゴールラインドロップアウト」になる具体的なケース

近年導入された「ゴールラインドロップアウト」は、現代ラグビーのスピードアップと公平性を高めるために採用されたルールです。以前であれば5メートルスクラムや22メートルドロップアウトになっていたプレーの一部が、この新しい再開方法に変更されています。どのような状況でこのルールが適用されるのか、具体的に見ていきましょう。

攻撃側がインゴールでグラウンディングできなかった場合

最も頻繁に見られるのが、攻撃側がボールを持ってインゴール(トライゾーン)に突入したものの、守備側の激しいディフェンスによってボールを地面につけられなかったケースです。これを「ヘルドアップ」と呼びます。守備側の選手がボールの下に手や体を入れて、グラウンディングを阻止した状態です。

以前のルールでは、攻撃側が持ち込んでヘルドアップになった場合、攻撃側ボールの5メートルスクラムで再開されていました。つまり、攻撃側はもう一度トライを狙うチャンスが続いていたのです。しかし、新ルールではこれがゴールラインドロップアウトに変更されました。

これにより、守備側は見事にトライを防ぎきれば、ボールを蹴り返して陣地を挽回できる権利を得られます。必死に守り切ったディフェンスへの「ご褒美」が大きくなったと言えるでしょう。観戦時には、ゴールライン際の密集でレフリーが笛を吹き、守備側がガッツポーズをしたら、このゴールラインドロップアウトになる可能性が高いと考えてください。

攻撃側のキックを守備側がインゴールで押さえた場合

試合の流れの中で、攻撃側が裏のスペースを狙ってパントキックやグラバーキック(ゴロキック)をインゴールへ蹴り込むことがあります。このボールに対し、守備側の選手が先に追いついてインゴール内でグラウンディング(タッチダウン)した場合も、ゴールラインドロップアウトとなります。

かつてはこのケースでは22メートルドロップアウトが適用されていました。守備側にとっては22メートルラインまで前に出て大きく陣地を回復できたのですが、ルール変更により、ゴールラインからの再開となりました。これは守備側にとって以前より少し不利な変更と言えます。

ゴールラインからのキックでは、ハーフウェイライン付近まで飛ばすのがやっとという場合も多く、相手にカウンターアタックを仕掛けられるリスクが高まります。そのため、守備側はあえてドロップアウトにせず、インゴールからパスをつないで攻め返す選択をすることもあります。

インゴールでのノックオンが発生した場合

攻撃側の選手がインゴール内でボールをキャッチしようとしてファンブルし、前に落としてしまった場合(ノックオン)。通常、フィールド内でのノックオンは相手ボールのスクラムになりますが、インゴール内で攻撃側がノックオンした場合は、ゴールラインドロップアウトで再開されます。

これは、スクラムを組む時間を短縮し、試合のテンポを落とさないための工夫です。スクラムは組むまでに時間がかかることが多いため、キックでの再開にすることで、よりスピーディーな展開が期待されています。

ただし、守備側の反則によってアドバンテージが出ている場合などは、ペナルティキックなどが優先されることもあります。あくまで「通常のプレーの流れで攻撃側がミスをした場合」の処理として覚えておくと良いでしょう。

ここがポイント!

ゴールラインドロップアウトの導入により、ゴール前の攻防で「とにかく突っ込んでヘルドアップでもスクラムがもらえる」という攻撃側のメリットがなくなりました。攻撃側はより確実にグラウンディングする技術が求められ、守備側はボールを地面につけさせない技術の価値が上がっています。

「22メートルドロップアウト」になる具体的なケース

次に、伝統的な「22メートルドロップアウト」について解説します。こちらは自陣の22メートルライン(ゴールラインから22メートル離れた線)まで戻って再開できるため、守備側にとっては陣地を大きく回復できる非常に有利な再開方法です。どのような条件でこのプレーが選択されるのでしょうか。

ペナルティゴールやドロップゴールが失敗した時

現在、22メートルドロップアウトが発生する最も代表的なケースは、攻撃側が得点を狙ったキックを外したときです。具体的には以下の2つのパターンがあります。

・ペナルティキックでゴールを狙ったが外れ、ボールがデッド(ラインの外に出る)になったり、守備側がインゴールで押さえたりした場合。
・ドロップゴール(プレー中のドロップキックによる得点)を狙って失敗し、同様にボールがデッドまたは守備側に押さえられた場合。

このように「得点を狙うキック」が失敗した場合は、守備側が大きく陣地を戻して22メートルラインからの再開となります。攻撃側にとっては、得点のチャンスを逃した上に相手に陣地を回復されてしまうため、ダブルパンチのようなダメージとなります。

22メートルラインからの戦術的な選択

22メートルドロップアウトは、守備側にとって大きなチャンスです。22メートルライン上からキックを行えるため、うまく蹴ればハーフウェイラインを大きく越えて敵陣深くまでボールを飛ばすことができます。これにより、一気に守勢から攻勢へと転じることが可能です。

また、キッカーは必ずしも遠くへ蹴る必要はありません。わざと短く高く蹴り上げ(ショートパント)、味方選手を走らせて空中で競り合い、ボールの再獲得(リゲイン)を狙う戦術も頻繁に見られます。このプレーはリスクも伴いますが、成功すれば一気に敵陣で攻撃を開始できるため、試合の流れを大きく変える「奇襲」として使われることもあります。

通常のキック処理との混同に注意

先ほどのセクションで説明した通り、攻撃側の「普通のパントキック」や「グラバーキック」をインゴールで押さえた場合は、現在はゴールラインドロップアウトになります。ここが非常に間違いやすいポイントです。

昔のルールや知識のままだと、「インゴールで抑えたから22メートルまで戻れる!」と思ってしまいがちですが、現在はキックの種類(得点を狙ったものか、そうでないか)によって再開位置が変わります。「得点失敗なら22メートル、普通の攻撃キックならゴールライン」と整理して覚えておくと、観戦時に混乱せずに済みます。

間違いやすい「キャリーバック」との違い

ドロップアウトと非常によく似た状況でありながら、全く異なる再開方法となるのが「キャリーバック」です。初心者の方が最も混乱しやすいルールの一つですので、ここでしっかり区別しておきましょう。

守備側が自ら持ち込んだ場合は「5メートルスクラム」

ドロップアウトになる条件は、「相手(攻撃側)がボールをインゴールへ入れた」ことです。これに対し、守備側のチームが自分たちでボールをインゴールへ持ち込んだり、パスを回してインゴールに入れてしまったりすることを「キャリーバック」と呼びます。

もし守備側がキャリーバックをして、その後に自らグラウンディング(タッチダウン)してプレーを切った場合、ドロップアウトにはなりません。この場合の再開方法は、「ゴールラインから5メートルの地点での相手ボールスクラム」となります。

これは守備側にとって非常に厳しいペナルティです。自陣ゴール目前で相手にボールを渡し、しかもスクラムという攻撃側に有利な形での再開となるため、大ピンチを招くことになります。そのため、選手たちは自陣深くでボールを処理する際、うっかりインゴールに入ってしまわないよう細心の注意を払っています。

「誰がボールを入れたか」が見分ける鍵

ドロップアウトかキャリーバックかを見分ける最大のポイントは、「最後にボールをインゴールへ送ったのはどちらのチームか?」という点です。

攻撃側が入れた場合

→ ドロップアウト(22mまたはゴールライン)で再開。
守備側にとっては「ナイスディフェンス」となり、陣地を回復できます。

守備側が入れた場合

→ 5メートルスクラム(相手ボール)で再開。
守備側にとっては「ミス判断」となり、ピンチが継続します。

例えば、相手のキックをフィールド内でキャッチした後、相手のタックルを避けようとして後ろに下がり、インゴールに入ってからタッチダウンした場合はキャリーバックです。一方で、相手のキックをインゴール内で直接キャッチしてタッチダウンすればドロップアウトです。この「ラインを越える前か後か」の微妙な違いが、その後の展開を天国と地獄ほどに変えてしまうのです。

ドロップアウトの実行ルールと反則

最後に、実際にドロップアウトを行う際の手順やルール、そして失敗した場合の処理について解説します。再開のキックがうまくいかないと、さらに不利な状況に追い込まれてしまうこともあります。

蹴る位置と相手チームの立ち位置

ドロップアウトを行う際、キッカーは指定されたライン(22メートルラインまたはゴールライン)上のどこからでも蹴ることができます。通常はラインの後方に下がって助走をつけますが、ボールをインパクトする(蹴る)位置はライン上またはラインの後方でなければなりません。

一方、相手チーム(攻撃側だったチーム)にも立ち位置のルールがあります。22メートルドロップアウトの場合は22メートルラインよりも向こう側、ゴールラインドロップアウトの場合は5メートルライン(ゴールラインから5メートル離れた線)よりも向こう側にいなければなりません。キックが行われる前にこのラインを越えてチャージ(妨害)しようとすると、オフサイドの反則やフリーキックなどが与えられます。

必ず越えなければならない距離

ドロップアウトで蹴られたボールは、必ず一定の距離を越えなければインプレー(試合続行)とは認められません。

・22メートルドロップアウトの場合:
22メートルラインを越える必要があります。
・ゴールラインドロップアウトの場合:
ゴールラインから5メートルラインを越える必要があります。

もしキックミスなどでボールがこのラインを越えなかった場合、相手チームには以下の選択肢が与えられます。
1. ドロップアウトのやり直し
2. 蹴った地点でのスクラム(相手ボール)

多くの場合はスクラムが選択され、守備側は自陣でのスクラムという不利な状況になってしまいます。

直接タッチに出た場合(ダイレクトタッチ)

ドロップアウトで蹴ったボールが、地面にバウンドせずに直接タッチラインの外に出てしまった場合(ダイレクトタッチ)、これは大きなミスとなります。この場合、相手チームには以下の3つの選択肢が与えられます。

1. ドロップアウトのやり直し
2. 蹴った地点でのスクラム(相手ボール)
3. ボールが出た地点でのラインアウト(相手ボール)

特にゴールラインドロップアウトでダイレクトタッチをしてしまうと、ゴール前5メートル付近での相手ボールスクラムやラインアウトを選ばれることが多く、再びトライの危機に直面することになります。そのため、キッカーは「遠くへ飛ばしたい」という気持ちと「絶対にタッチに出してはいけない」というプレッシャーの中でキックを行っているのです。

まとめ:ドロップアウトの再開方法を整理して観戦を楽しもう

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーにおける「ドロップアウト」の再開方法について、その種類やルールの違いを詳しく解説してきました。最後に改めてポイントを整理しておきましょう。

まず、ドロップアウトには伝統的な「22メートルドロップアウト」と、近年導入された「ゴールラインドロップアウト」の2種類があります。再開する位置が異なるだけでなく、適用される場面も明確に分かれています。

ペナルティゴールやドロップゴールの失敗など、得点を狙ったプレーの後には「22メートルドロップアウト」が適用され、守備側は大きく陣地を回復するチャンスを得ます。一方で、攻撃側がインゴールでグラウンディングできなかった(ヘルドアップ)場合や、攻撃のパントキックを処理した場合などは「ゴールラインドロップアウト」となり、ゴールライン上からの再開となります。

また、守備側が自らボールを持ち込む「キャリーバック」との違いを理解することも重要です。この場合はドロップアウトではなく、相手ボールの5メートルスクラムという大ピンチになります。「誰がボールを入れたか」を見極めることで、レフリーの判定を先読みできるようになります。

ドロップアウトは、試合の流れが一度リセットされ、攻守が入れ替わる重要な瞬間です。キッカーがどのように蹴るのか、相手チームがどう反応するのかに注目することで、ラグビー観戦の面白さがさらに深まることでしょう。ぜひ次の試合観戦では、この「再開のキック」に注目してみてください。


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