ラックの参加人数は何人が正解?ルールと戦術をわかりやすく解説

ラックの参加人数は何人が正解?ルールと戦術をわかりやすく解説
ラックの参加人数は何人が正解?ルールと戦術をわかりやすく解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合を見ていると、選手たちが重なり合ってボールを奪い合うシーンをよく目にしますよね。あの密集戦を「ラック」と呼びますが、「一体何人が参加しているの?」「人数に制限はあるの?」と疑問に思ったことはありませんか?

実は、ラックに参加する人数はルールで厳密に決まっているわけではなく、その時々の戦術や状況によって変わる非常に奥深いものなのです。人数をかけるべきか、かけないべきか。その判断が勝敗を分けることもあります。

この記事では、ラグビー初心者の方にもわかりやすく、ラックの参加人数に関するルールや、人数が変わることで生まれる戦術の面白さについて解説します。これを読めば、密集戦の攻防がもっと楽しく見られるようになりますよ。

ラックの参加人数に決まりはある?基本的なルール

まずは、ルールブック上の「ラックの参加人数」について確認していきましょう。何人いればラックとして認められるのか、逆に多すぎるとダメなのか、基本的な決まりを解説します。

ラックが成立する最低人数

ラグビーのルールでは、ラックが成立するために必要な最低人数が決まっています。それは、「ボールが地面にある状態で、両チームから少なくとも各1名の立った選手が身体を密着させた時」です。

つまり、攻撃側の選手1人と、防御側の選手1人が、地面にあるボールの上で押し合いを始めた瞬間に「ラック」が成立します。タックルをした選手やされた選手が地面に倒れている場合、その上に立った状態で味方と敵が1人ずつ絡めば成立です。

極端な話をすれば、グラウンドにいる30人のうち、たった2人(各チーム1人ずつ)がいればラックは完成します。この「各チーム1人以上」というのがポイントで、片方のチームの選手しかいない状態では、まだラックとは呼ばれません。

上限人数はあるのか?

では、逆に参加できる人数の上限はあるのでしょうか?答えは「ありません」。ルール上は、フィールドにいる15人全員がひとつのラックに参加しても反則にはなりません。

しかし、実際には15人全員がひとつの密集に入ることはまずあり得ません。なぜなら、そんなことをすれば他のスペースがガラ空きになり、相手に簡単にトライを許してしまうからです。

通常は、ボールを確保するために必要な2〜3人程度が参加することが多いですが、ゴールライン直前の攻防などでは、FW(フォワード)の選手たちがこぞって参加し、10人近い人数が入り乱れることもあります。

参加する際の「ゲート」というルール

ラックに参加する際、人数制限はありませんが、「どこから入ってもいい」わけではありません。ここには「ゲート」と呼ばれる厳格なルールが存在します。

選手は必ず、ラックの最後尾にある「見えない門(ゲート)」を通って、後ろから参加しなければなりません。横から入ったり、相手側の陣地から入ったりすると「サイドエントリー」や「オフサイド」の反則を取られます。

このルールがあるため、人数をかけたくても、正しい位置まで回り込む時間がなかったり、ゲートが狭くて入れなかったりすることがあります。人数だけでなく「入り方」も重要なのです。

審判が「ラック」とコールする瞬間

試合中、レフリーが「ラック!」と声をかけるのを聞いたことがあるかもしれません。これは選手たちに「今はラックが成立したから、もう手を使ってはいけませんよ」と伝えている合図です。

ラックが成立する前であれば、立っている選手は手を使ってボールを拾うことができます。しかし、お互いの選手が組み合ってラックが成立した瞬間からは、手を使うことが禁止され、足でボールを扱うか、押し勝ってまたぐことでボールを確保しなければなりません。

この「ラック成立」のタイミングは、まさに「人数が1対1以上になった瞬間」です。この一瞬の判断を巡って、選手たちは激しい駆け引きを行っています。

攻撃側の人数戦略:ボールを確保するために必要なこと

ここからは戦術的なお話です。攻撃側のチームにとって、ラックに何人の選手を送り込むかは非常に重要な判断になります。多ければ安心かというと、そうでもないのがラグビーの面白いところです。

クイックボールを出すための人数配分

攻撃側が最も目指したいのは、ラックから素早くボールを出して次の攻撃につなげる「クイックボール」です。テンポよくボールが出れば、相手の守備が整う前に攻め込むことができます。

そのためには、倒れた味方に対して素早く1〜2人のサポート(オーバー)が入り、相手を突き飛ばしてボールを守る必要があります。この寄りが早ければ、少ない人数でも確実にボールをマイボールにできます。

逆にサポートが遅れると、相手にボールを奪われそうになり、それを取り返すために3人、4人と余計な人数をかけざるを得なくなります。結果としてボールが出るのも遅くなり、攻撃のリズムが悪くなってしまいます。

「オーバー」の役割と重要性

ラックに参加して味方のボールを守る動きを「オーバー」と呼びます。このオーバー役の選手は、相手選手をなぎ倒したり、押し出したりして、ボールの上に安全な空間を作ります。

理想的なのは、タックルされた選手が倒れた直後に、1人の強力なオーバーが入って相手を排除することです。これを「二人目の役割(セカンドマン)」などと呼びます。これが完璧なら、攻撃側は最小限の人数でボールをキープできます。

もし相手がしつこく絡んでくる場合は、二人目、三人目のオーバーが入って剥がしに行きます。この力強さが足りないと、ラックの中でボールが停滞し、相手に絡まれて反則を取られるリスクが高まります。

参加人数を減らすメリット

攻撃側があえてラックに参加する人数を最小限(例えば1人だけ)にするのには、明確な理由があります。それは「攻撃ラインに人数を残したいから」です。

ラグビーは15人で行うスポーツですが、ラックに5人が参加してしまえば、残りは10人しかいません。これではパスを回す相手が減り、相手ディフェンスを崩すのが難しくなります。

逆に、ラックを1〜2人で完結させられれば、残りの13〜14人がグラウンド全体に広がって攻撃できます。数的優位を作ってトライを奪うためには、「いかにラックの参加人数を減らしてボールを確保するか」がカギとなるのです。

防御側の人数戦略:奪うか守るかの判断基準

守る側にとって、ラックはボールを奪い返す最大のチャンス(ターンオーバー)であると同時に、ピンチの入り口でもあります。防御側は「ラックに参加して奪いに行く」か「参加せずに待ち構える」か、瞬時の判断を迫られます。

「ジャッカル」を狙う時の人数

防御側がボールを奪う代表的なプレーが「ジャッカル」です。タックル直後に、立ったままの選手がボールに絡みつき、相手がボールを放せなくする(ノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘う)か、そのまま奪い取ります。

このジャッカルは、基本的に「たった1人」で行うプレーです。人数をかけて何人もで群がるよりも、一人の選手が素早く低く入る方が成功率は高くなります。成功すれば一気に形勢逆転ですが、失敗すればその選手はラックに取り込まれてしまい、守備ラインが1人減ることになります。

ジャッカルのポイント

ジャッカルはラックが「成立する前」か、成立した直後の隙を狙います。成功させるには、相手のサポートが来るよりも早く、低い姿勢でボールに手をかけるスピードが命です。

カウンターラックで押し込む場合

ジャッカルとは違い、力ずくでボールを奪いに行くのが「カウンターラック」です。これは、相手が確保したラックに対して、防御側が複数人で塊となって押し込み、相手ごとボールを乗り越えて奪う戦術です。

この場合は、1人ではなく2〜3人、あるいはそれ以上の人数が結束して押し込みます。特に相手のサポートが遅れていたり、足元が不安定だったりするときに有効です。

成功すればボールを奪えますが、多人数を投入するためリスクも伴います。もし押し切れずにボールが出されてしまうと、その周辺の守備が手薄になり、一気に突破される危険性があります。

あえて参加しない「リロード」の動き

最近のラグビーで非常に重要なのが、あえてラックに参加しないという選択です。これを「リロード」や「リセット」と呼び、次の守備のためにラインを整える動きを指します。

もしボールを奪える見込みが薄いラックに無理に参加しても、ただ人数を無駄にするだけです。それよりも、素早く立ち上がって守備ラインに並び直し、横幅を埋める方がチームにとってプラスになります。

「このラックは捨てて、次で止める」という判断ができるチームは、守備が堅く、相手にスペースを与えません。観戦中は、ラックに誰も入らずに全員が横に広がって壁を作っているシーンに注目してみてください。

相手の攻撃を防ぐための配置

ラックの周辺には、「ピラー(柱)」や「ポスト」と呼ばれる守備の役割があります。ラックのすぐ脇を固める選手たちのことで、相手がラックサイドを突いてくるのを防ぐ重要なポジションです。

ラックに参加する人数を0人(誰も絡まない)にしたとしても、このピラーとポストには必ず人を配置しなければなりません。そうしないと、ラックの真横をそのまま走り抜けられてしまうからです。

つまり防御側は、ラックの「中」に入る人数と、ラックの「脇」に立つ人数のバランスを常に計算しています。このバランスが崩れた瞬間、トライが生まれることが多いのです。

ラックの参加人数が試合の流れに与える影響

ラックの人数は、単なるルールや戦術だけでなく、試合全体のペースや選手の疲労度にも大きく影響します。ここでは、試合の流れという視点から参加人数を見てみましょう。

接点(ブレイクダウン)の激しさと消耗

ラックのことを専門用語で「ブレイクダウン」とも呼びますが、ここは最も体力を消耗する場所です。重い選手同士が全力でぶつかり合うため、ラックへの参加回数が多い選手ほど疲労が蓄積します。

もしあるチームが、全てのラックに多人数をかけて戦うスタイルをとった場合、前半はボールを支配できるかもしれません。しかし、後半になるとFWの選手たちが疲れ果て、足が止まってしまうリスクがあります。

賢いチームは、勝負どころのラックには人数をかけ、そうでない場所では人数を節約するなど、80分間を通じたエネルギー管理を行っています。

人数をかけすぎることのリスク

先ほども少し触れましたが、ラックに人数をかけすぎる最大のリスクは「ミスマッチ」が生まれることです。ミスマッチとは、攻撃側と防御側の人数が合わなくなる状態を指します。

例えば、防御側がラックに4人入ってしまったとします。攻撃側が素早くボールを出して逆サイドに展開すると、そこには「攻撃側5人対防御側3人」のような状況が生まれます。これを「オーバーラップ(余っている状態)」と言い、トライが生まれる黄金パターンです。

トップレベルの試合では、相手がラックに何人かけたかを瞬時に見極め、「あっちが余っているぞ!」と声を掛け合って攻める方向を決めています。

素早い展開ラグビーとラックの関係

日本代表が得意とするような、パスを素早く回す「展開ラグビー」では、ラックの参加人数を極限まで減らすことが求められます。

タックルされたら即座にボールを出し、ラックになるかならないかの瞬間に次のプレーに移る。これを繰り返せば、ラックに参加する人数は最小限で済み、常にフィールド上に多くの選手が立って走ることができます。

逆に、力が強く大柄な選手が多いチームは、あえてラックに人数をかけて相手を消耗させ、密集戦でゴリゴリと前に進む戦術をとることもあります。チームのカラーによって、ラックにかける平均人数も変わってくるのです。

観戦がもっと楽しくなる!ラック周辺の注目ポイント

最後に、実際の試合観戦やテレビ観戦で、ラック周辺のどこに注目すればより楽しめるかを紹介します。ボールの行方だけでなく、人数の動きに目を向けるとラグビー通になれますよ。

ハーフ団の動きとラックの関係

背番号9番のスクラムハーフは、ラックからボールを取り出す役割を担っています。彼がラックに近づき、ボールを出そうとしている時、相手のディフェンスが何人ラックに巻き込まれているかを見てみましょう。

もし相手がラックに誰も入っていなければ、スクラムハーフは警戒してキックを蹴るかもしれません。逆に相手がたくさん倒れていれば、チャンスと見て味方のバックスに素早くパスを放つでしょう。

フォワード選手の運動量を見る

ラックは主にFW(フォワード)の仕事場です。特にフランカー(6番、7番)やナンバーエイト(8番)の選手は、タックルしてすぐに起き上がり、次のラックへ走るという過酷な動きを繰り返しています。

「あの選手、さっきのラックにもいたのに、もう次のラックに入っている!」という選手を見つけたら、その選手はチームの陰のヒーローです。人数のやりくりを支えているのは、彼らの豊富な運動量なのです。

また、ラックに参加したふりをして、実は参加せずに待ち構えているベテラン選手の駆け引きなども、見ていて面白いポイントです。

レフリーのシグナルと反則の種類

ラック周辺では反則も多く発生します。レフリーが手を真上に挙げて笛を吹いたとき、ラックの中で何が起きていたのか想像してみましょう。

「ノット・ロール・アウェイ」は、タックルした選手が退かなかった反則。「シーリング・オフ」は、攻撃側が倒れ込んでボールに蓋をしてしまった反則です。これらはすべて、ボールの争奪戦において公平性を保つためのルールです。

知っておきたい反則:ハンド

ラックが成立した後に手でボールを扱うと「ハンド」の反則になります。観戦中に「あっ、今手を使ったな」と分かれば、あなたも立派なラグビー通です!

まとめ:ラックの参加人数を理解してラグビー観戦を深めよう

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーの「ラック」における参加人数について、ルールと戦術の両面から解説しました。要点を振り返ってみましょう。

ラックは敵味方各1名以上で成立し、人数に上限はないものの、戦術的には「いかに少ない人数でボールを確保するか」が重要です。

攻撃側は、素早いボール出し(クイックボール)のために必要最小限のサポートを送りたいと考え、防御側は、ボールを奪えるチャンス(ジャッカルやカウンターラック)と判断した時だけ人数をかけます。この「人数の駆け引き」が、グラウンドのあちこちで毎秒行われているのです。

次回の試合観戦では、ボールを追うだけでなく、「このラックには何人入っているかな?」「今、防御側はあえて入らなかったな」といった視点で見てみてください。選手たちの頭脳戦が見えてきて、ラグビーがもっと面白くなるはずです。

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