ラグビーのワールドカップや国際試合を見ていると、「ティア2(Tier 2)」という言葉を耳にすることがありませんか?「強豪国と何が違うの?」「日本は今どのランクなの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実はこの「ティア2」、ラグビー界を語る上で非常に重要なキーワードなのです。かつての日本代表もこのカテゴリーに属し、そこから世界トップクラスへと駆け上がっていきました。そして今、多くのティア2諸国が強豪国を脅かす存在となり、世界中で熱いドラマを生み出しています。
この記事では、ラグビーにおけるティア2の定義や該当する国々、そしてティア1との違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。さらに、近年進んでいる「ティア区分の撤廃」や、2026年から始まる新しい世界大会についても詳しく紹介します。
ティア2を知れば、ラグビー観戦がもっと奥深く、もっと面白くなること間違いありません。世界中のラグビー文化に触れる旅へ、一緒に出かけましょう。
ラグビーの「ティア2」とは?基礎知識を徹底解説

まずは、ラグビー界における「ティア(Tier)」という言葉の意味と、その階級制度の仕組みについて解説します。なぜ国ごとにランク分けされているのか、その背景を知ることでラグビーの構造が見えてきます。
ティア(Tier)制度の意味と歴史的背景
ラグビーにおける「ティア(Tier)」とは、英語で「階層」や「段」を意味する言葉です。世界中のラグビー協会(ユニオン)を、実力や実績、経済規模、歴史的伝統などに基づいてグループ分けした階級制度のことを指します。これは公式なランキング(世界ランキング)とは異なり、簡単には変動しない「格付け」のようなものでした。
この制度は、ワールドラグビー(国際統括団体)が各国の支援体制や試合のスケジュールを決める際の指標として長年使用されてきました。基本的には「ティア1(強豪国)」「ティア2(中堅国)」「ティア3(発展途上国)」の3段階に分けられています。
ティア制度が生まれた背景には、ラグビーというスポーツ特有の歴史があります。ラグビーは長らく、イギリスを中心とした伝統国(ホームユニオン)と、南半球の強豪国だけが主導権を握る閉鎖的な構造がありました。そのため、それ以外の国々を区分けし、強化方針を定める必要があったのです。
しかし、この制度は「固定化された階級社会」という批判もあり、近年のラグビー界では実力主義への移行が進んでいます。それでも、ファンの間ではチームの立ち位置を表す言葉として、今なお広く使われています。
「ティア1」と「ティア2」の決定的な違い
では、トップ層である「ティア1」と、挑戦者である「ティア2」にはどのような違いがあるのでしょうか。最も大きな違いは、単なるチームの強さだけでなく、「試合環境」と「協会への発言権」にあります。
ティア1と呼ばれる国々は、イングランド、ニュージーランド、南アフリカなど、ラグビーの歴史を作ってきた伝統的な10カ国を指します。これらの国々は、「シックス・ネーションズ(欧州6カ国対抗)」や「ザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4カ国対抗)」といった、毎年開催される定期戦に参加する権利を持っています。これにより、常に高いレベルでの試合経験を積むことができ、放映権料などの莫大な収入も得られます。
一方、ティア2の国々は、こうした定期的な国際大会への参加権が限られています。強豪国と対戦できるのは、4年に一度のワールドカップや、数少ないテストマッチ(国際試合)の機会のみというケースも珍しくありません。この「経験値の差」が、長年にわたり実力差を固定化させる要因となってきました。
また、ワールドラグビーの意思決定機関である評議会において、ティア1の国々は多くの投票権を持っていますが、ティア2の国々の票数は少なく設定されていました。つまり、政治的な力関係においても大きな格差が存在していたのです。
ティア3との区別と昇格の難しさ
ティア2の下には「ティア3」というカテゴリーが存在します。ここは主に、ラグビーの発展途上国や、これから本格的に強化を始めようとしている国々が属しています。例えば、アジアの多くの国やアフリカ、中南米の一部などがこれに当たります。
ティア2とティア3の大きな違いは、ワールドカップへの出場経験や可能性です。ティア2の国々は、予選を勝ち抜いてワールドカップ本大会に出場する常連国が多く、プロ選手も輩出しています。一方、ティア3の国々は、まずは予選を突破することが大きな目標となります。
ティア3からティア2へ、そしてティア2からティア1へと昇格することは、並大抵のことではありません。単に試合で勝てばよいというわけではなく、国内の競技人口、スタジアムの整備状況、協会の財政基盤など、総合的な「国としてのラグビー力」が問われるからです。
長年、この階級の壁は厚く閉ざされていましたが、近年のラグビー界ではその壁を壊そうとする動きが活発化しています。次項で紹介する日本代表の活躍などが、その象徴的な事例と言えるでしょう。
日本はティア1?ティア2?現在の立ち位置と評価

私たちにとって最も気になるのは、日本代表(ブレイブ・ブロッサムズ)の立ち位置ではないでしょうか。かつてはアジアの代表としてティア2に分類されていた日本ですが、現在は劇的な変化を遂げています。
かつての日本は「ティア2の盟主」だった
日本ラグビーの歴史を振り返ると、長い間「ティア2」の枠組みの中で戦ってきました。ワールドカップには第1回大会から連続出場を続けているものの、1991年大会でのジンバブエ戦勝利以来、2015年まで24年間もワールドカップでの勝利から遠ざかっていた時期があります。
当時は、強豪国(ティア1)と対戦すると大差で敗れることが多く、「世界との壁」を痛感させられる時代でした。しかし、それでも日本はアジア唯一のワールドカップ常連国として、ティア2の中ではトップクラスの実力と組織力を維持し続けていました。
転機となったのは、やはり2015年イングランド大会での南アフリカ戦勝利、通称「ブライトンの奇跡」です。さらに2019年日本大会では、アイルランドとスコットランドというティア1の国々を撃破し、史上初のベスト8進出を果たしました。これにより、日本の実力はもはやティア2の枠に収まらないことが世界に証明されたのです。
「ハイパフォーマンスユニオン」への認定
こうした実績が認められ、ワールドラグビー(国際統括団体)における日本の扱いは大きく変わりました。現在、日本は公式に「ハイパフォーマンスユニオン(High Performance Union)」というカテゴリーに認定されています。
これは、2023年5月にワールドラグビーが発表した新しい枠組みの一つです。従来の「ティア1」という呼び方は公式文書から徐々に姿を消しつつあり、代わりにこの「ハイパフォーマンスユニオン」という名称が使われるようになりました。
この認定には、代表チームの強さだけでなく、日本ラグビーフットボール協会の事業規模、ガバナンス(運営能力)、将来性などが総合的に評価されました。つまり、日本は名実ともに世界のトップグループの一員として認められたのです。これは、長年ティア2として苦闘してきた日本ラグビー界にとって、悲願の達成と言えるでしょう。
実質的な「ティア1」扱いとしての現在
現在、ファンの間やメディアの報道では、日本を「ティア1」として扱うことが一般的になっています。公式な用語が変わったとはいえ、「ティア1=世界トップの強豪グループ」という認識は根強いため、日本はその仲間入りを果たしたと解釈して間違いありません。
具体的には、投票権の数が増えたことや、マッチメイク(試合組み)において強豪国との対戦が組みやすくなったことなどが挙げられます。実際、近年の日本代表のテストマッチ相手は、ニュージーランドやフランス、イングランドといった超強豪国が中心になっています。
しかし、これはゴールではなく新たなスタートでもあります。トップグループに入ったことで、常に結果を求められる厳しい環境に身を置くことになりました。「ティア2の挑戦者」から「世界の強豪」として、日本代表は新たなフェーズで戦い続けています。
メモ:公式用語の変化
現在、ワールドラグビーは「ティア」という言葉の使用を避け、「ハイパフォーマンスユニオン」や「パフォーマンスユニオン」といった名称を用いています。これは階級による差別的なニュアンスをなくし、すべての国に平等な発展の機会を与えるという意志の表れでもあります。
ティア2に該当する主な国と強豪チームの特徴

日本が卒業したとされるティア2ですが、世界にはまだまだ魅力あふれる強豪国がたくさん存在します。ここでは、地域ごとにティア2の主要な国々を紹介し、それぞれのチームの特徴やプレースタイルについて解説します。彼らのラグビーを知れば、ワールドカップがさらに面白くなるはずです。
太平洋のフィジカルモンスター:フィジー、トンガ、サモア
ティア2の中で最も恐れられ、かつ愛されているのが「パシフィック・アイランダー」と呼ばれる太平洋諸国のチームです。フィジー、トンガ、サモアの3カ国は、人口こそ少ないものの、ラグビーが国技として深く根付いています。
彼らの最大の特徴は、生まれ持った圧倒的な身体能力です。強烈なタックルで相手を吹き飛ばし、信じられないようなオフロードパス(タックルされながら出すパス)で局面を打開します。特にフィジーは「フィジアン・マジック」と呼ばれる変幻自在のランニングラグビーで知られ、7人制ラグビーではオリンピックで金メダルを獲得するほどの実力を持っています。
近年では、フィジーを筆頭に組織力も向上しており、2023年ワールドカップではフィジーがオーストラリア(ティア1)を破る快挙を成し遂げました。彼らはもはやティア2という枠組みを超え、世界トップレベルを脅かす存在となっています。
欧州の実力派たち:ジョージア、ポルトガル、スペイン
ヨーロッパには「シックス・ネーションズ(6カ国対抗)」に参加するティア1諸国以外にも、強力なチームがひしめいています。その筆頭がジョージアです。格闘技が盛んなお国柄もあり、世界屈指の強力なスクラムを武器としています。彼らのフォワード陣はフランスなどのトップリーグで活躍しており、「レロス」の愛称で親しまれています。
また、近年急成長しているのがポルトガルです。2023年ワールドカップでは、華麗なバックスの展開力を武器に、フィジーから歴史的な勝利を挙げました。「オス・ロボス(狼たち)」と呼ばれる彼らの情熱的なプレーは、世界中のファンを魅了しました。
このほか、スペインやルーマニアといった国々も伝統的にラグビーが盛んで、ティア2のヨーロッパ大会(ラグビー・ヨーロッパ・チャンピオンシップ)では毎年激しい戦いが繰り広げられています。
南北アメリカの挑戦者:アメリカ、ウルグアイ、チリ
アメリカ大陸もラグビーの発展が著しい地域です。北米のアメリカ合衆国(イーグルス)は、豊富なアスリート人口と経済力を背景に、潜在能力の高さが注目されています。2031年には男子ワールドカップの開催が決まっており、今後急速な強化が予想されます。
南米では、アルゼンチンに続く存在としてウルグアイが力をつけています。2019年ワールドカップではフィジーを破る「釜石の奇跡」を起こし、その粘り強いディフェンスと情熱的なプレーで世界を驚かせました。また、チリも2023年に初のワールドカップ出場を果たし、南米ラグビーの層の厚さを証明しました。
これらの国々は、独自のプロリーグ(北米のMLR、南米のスーパーラグビー・アメリカズなど)を通じて選手の強化を図っており、着実に実力を上げています。
アフリカ・アジアの振興国:ナミビア、香港など
アフリカ大陸では、南アフリカという巨人の影で、ナミビアが奮闘しています。彼らはワールドカップのアフリカ予選を圧倒的な強さで勝ち抜き、連続出場を続けています。ワールドカップ本大会での初勝利こそまだ挙げていませんが、屈強なフィジカルを生かしたプレーは侮れません。
アジアでは、日本が抜けた後のリーダー争いが激化しています。香港や韓国、マレーシアなどがその座を争っており、特に香港は多くの海外出身選手を取り入れながら強化を進めています。アジア全体のレベルアップは、日本ラグビーにとっても重要な課題の一つです。
ティア2が直面する課題と格差の問題

ティア2の国々には魅力的なチームが多い一方で、彼らは常に構造的な不利や厳しい環境と戦っています。ここでは、ティア2が抱える具体的な課題について、「試合数」「資金」「選手流出」の3つの視点から掘り下げます。
圧倒的に少ない「強豪との対戦機会」
ティア2の国々が強くなる上で最大の障壁となっているのが、ティア1(強豪国)との真剣勝負の機会が極端に少ないことです。ラグビーは「強い相手と戦うことで強くなる」スポーツと言われますが、ティア2のチームは年間を通じて、自分たちより格上の相手と試合をするチャンスがほとんどありません。
ティア1の国々は、自分たち同士の定期戦(シックス・ネーションズなど)でスケジュールが埋まっており、興行収入が見込めないティア2との試合を組みたがらない傾向がありました。そのため、ティア2のチームはワールドカップという本番でいきなり強豪国と対戦することになり、試合勘やスピード感の違いに戸惑うことが多かったのです。
この「経験の格差」をどう埋めるかが、長年の課題とされてきました。
プロリーグの不在と財政面での格差
ラグビー協会の財政規模にも、ティア1とティア2では天と地ほどの差があります。ティア1の国々は、満員のスタジアムや高額な放映権料によって潤沢な資金を得ており、それを選手の強化や育成システムに投資できます。
一方、多くのティア2諸国では、国内に完全なプロリーグが存在しないか、あっても規模が小さいのが現状です。サモアやトンガのような島国では、経済規模自体が小さく、代表チームの遠征費を工面するのにも苦労することがあります。選手たちは、十分な報酬を得られないまま、仕事を掛け持ちしてラグビーを続けるケースも少なくありません。
資金不足は、コーチの招聘、医療体制の整備、若手育成アカデミーの運営など、すべてに影響を及ぼします。
選手の流出と代表資格ルールの影響
才能ある選手が、より良い環境と報酬を求めて国外へ流出してしまうのも深刻な問題です。特に太平洋諸国の選手たちは、若くしてニュージーランドやオーストラリア、フランス、そして日本のクラブチームと契約し、そのまま移住先の代表チーム(ティア1)を選んでしまうことが多々ありました。
しかし、この問題に関しては近年、ポジティブな変化が起きています。代表資格ルールの変更です。かつては一度ある国の代表になると、他の国の代表にはなれませんでしたが、一定期間(36ヶ月)代表活動から離れれば、自身のルーツがある国の代表に戻れるようになりました。
このルール変更により、元ニュージーランド代表や元オーストラリア代表だったトップ選手たちが、母国であるサモアやトンガの代表としてワールドカップに出場できるようになりました。これはティア2諸国にとって大きな戦力アップとなり、格差是正の一助となっています。
ルール変更の恩恵
この「転籍ルール」のおかげで、2023年W杯では多くのスター選手が祖国のユニフォームを着てプレーしました。これはティア2のレベルを一気に引き上げる「救いの手」となりました。
ティア2からの下克上!ワールドカップでの名勝負

厳しい環境にありながらも、ティア2のチームが強豪国を倒す瞬間は、ラグビーというスポーツが持つ最高のエンターテインメントです。ここでは、世界中を驚かせた「ジャイアントキリング(大物食い)」の名勝負を紹介します。
世界が震えた「ブライトンの奇跡」
ラグビー史上最大の番狂わせとして語り継がれているのが、2015年ワールドカップ・イングランド大会での「日本 vs 南アフリカ」の一戦です。当時の日本はティア2、南アフリカは優勝候補筆頭のティア1で、過去2回の優勝を誇る超大国でした。
試合前の予想オッズは圧倒的に南アフリカ優位でしたが、エディー・ジョーンズHC率いる日本代表は、低く鋭いタックルと緻密なサインプレーで食らいつきます。そして試合終了間際、あえて同点を狙うペナルティゴールを選ばず、スクラムを選択して逆転トライを奪いました。
34-32での勝利は「ブライトンの奇跡」と呼ばれ、ティア2の国でも努力と戦略でティア1を倒せることを世界に証明しました。この試合は、その後のラグビー界の流れを大きく変えるきっかけとなりました。
釜石の奇跡とフィジーの躍進
2019年日本大会では、ウルグアイがフィジーを破るという驚きがありました。会場となった岩手県釜石市でのこの試合は「釜石の奇跡」と呼ばれ、格上のフィジーに対し、ウルグアイが魂のタックルで勝利をもぎ取りました。ティア2同士の対戦でしたが、世界ランクに大きな差がある中での勝利は感動を呼びました。
また、2023年フランス大会では、フィジー自身が「ジャイアントキラー」となりました。オーストラリア戦において、フィジーは持ち前の攻撃力だけでなく、規律の取れたディフェンスとスクラムで相手を圧倒。22-15で勝利し、オーストラリアを初の予選プール敗退へと追い込みました。フィジーのティア1級の実力が証明された瞬間でした。
ポルトガルの情熱と健闘
同じく2023年大会で最も称賛を浴びたチームの一つがポルトガルです。久しぶりの出場となった彼らは、ティア1のウェールズやオーストラリア相手に勇敢なアタッキングラグビーを展開しました。
そして最終戦のフィジー戦。決勝トーナメント進出を決めていた強豪フィジーに対し、ポルトガルは最後まで攻め続け、終了間際のトライとゴールで劇的な逆転勝利を収めました。これはポルトガルにとってワールドカップ初勝利であり、スタジアム全体が涙と歓喜に包まれました。ティア2の国が見せる純粋な情熱は、勝敗を超えて人々の心を動かす力を持っています。
ラグビー界の未来はどうなる?ティア区分の撤廃と新大会

現在、世界のラグビー界は大きな変革期を迎えています。「ティア」という固定観念を壊し、より多くの国が活躍できる舞台を作ろうという動きが加速しています。最後に、これから始まる新しい大会や制度について解説します。
2026年開始「ネーションズ・チャンピオンシップ」
2026年から、ラグビーの国際カレンダーが大きく変わります。最も注目すべきは、「ネーションズ・チャンピオンシップ(仮称)」という新しい世界大会の創設です。
この大会は、北半球の「シックス・ネーションズ(6カ国)」と、南半球の「ラグビーチャンピオンシップ(4カ国)」に、さらに2カ国(日本とフィジーが有力)を加えた「トップ12」で行われるリーグ戦です。7月と11月のテストマッチ期間を利用して開催され、2年に一度、世界王者を決める戦いが繰り広げられます。
これは実質的に、世界のトップチームだけが集まるリーグであり、ここに選ばれることが新たな「ティア1」の定義になるとも言えます。
下部大会との昇降格制度の導入
重要なのは、このトップ大会が「閉ざされたリーグ」ではなくなる予定であることです。トップ12の下には、「ワールドラグビー・ネーションズカップ(チャレンジャーシリーズ)」という第2カテゴリーの大会が設けられます。
ここには、ジョージア、サモア、トンガ、アメリカ、ウルグアイ、ポルトガル、スペインなど、ティア2の有力国12チームが参加します。そして2030年からは、トップ12の最下位チームと、第2カテゴリーの優勝チームとの間で「入れ替え戦(昇降格)」が行われる計画があります。
これにより、すべての国にトップリーグへ上がるチャンスが生まれます。ティア2の国々にとっては、明確な目標を持って強化に取り組める大きなモチベーションとなるでしょう。
ワールドカップ参加国の拡大(2027年大会より)
さらに、2027年に開催されるオーストラリア大会からは、ワールドカップの参加国数がこれまでの20カ国から24カ国に拡大されます。
枠が増えることで、これまで出場が叶わなかった国々や、惜しくも予選で敗退していたティア2、ティア3の国々にチャンスが広がります。参加国が増えれば、ラグビーの普及地域も広がり、新たなライバル関係やドラマが生まれることが期待されています。
ラグビー界は今、「ティア」という壁を取り払い、世界中の国々が実力で競い合えるオープンな未来へと進んでいます。これからの数年間は、これまでにないほどエキサイティングな展開が待っていることでしょう。
今後の注目ポイント
2026年からの新大会で、どの国がトップ12に入るのか、そして下部リーグからどの国が這い上がってくるのか。これからのラグビー観戦は、この「サバイバル競争」に注目です。
まとめ:ティア2の熱い戦いがラグビーを面白くする
ラグビーにおける「ティア2」について、その意味や歴史、そして最新の情勢までを解説してきました。要点を振り返ってみましょう。
まず、ティア2とは、伝統的な強豪国(ティア1)に次ぐ実力を持つ国々のグループを指します。彼らは試合機会や資金面でのハンデを抱えながらも、強靭なフィジカルや独自の戦術で強豪国に挑み続けています。
日本代表はかつてこのティア2に属していましたが、ワールドカップでの実績などが認められ、現在は「ハイパフォーマンスユニオン」として事実上のティア1扱いとなっています。しかし、日本に続くフィジー、ジョージア、ポルトガル、ウルグアイといった国々が、次なる「ジャイアントキリング」を虎視眈々と狙っています。
そしてラグビー界は今、2026年の新大会創設やワールドカップの拡大により、固定化された階級制度を打破しようとしています。昇降格のある新リーグの誕生は、すべての国に公平なチャンスをもたらすでしょう。
「ティア2」という言葉は、単なるランクの低さを表すものではありません。それは、逆境を乗り越え、世界を驚かせようとする「挑戦者の魂」を象徴する言葉でもあります。これからは、トップ国同士の戦いだけでなく、下剋上を狙うティア2諸国の熱い戦いにもぜひ注目してみてください。そこには、ラグビーの本当の面白さが詰まっています。


