10mサークルとオフサイドの関係とは?ラグビーのルールを詳しく解説

10mサークルとオフサイドの関係とは?ラグビーのルールを詳しく解説
10mサークルとオフサイドの関係とは?ラグビーのルールを詳しく解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合中、レフリーが「10メートル!」と叫んだり、解説者が「10mサークルのオフサイドですね」と話したりするのを耳にしたことはありませんか?フィールドにはそんな線は引かれていないのに、なぜ反則になるのでしょうか。実はこれ、キックを使ったプレー中に適用される特別なオフサイドのルール、通称「10メートル法」のことなのです。このルールを知っていると、ラグビーの攻防、特にキック合戦の意味が手に取るようにわかるようになります。この記事では、初心者の方にもイメージしやすいように、図解するような気持ちでやさしく解説していきます。

「10mサークル」とオフサイドの基本ルール

ラグビーには様々な種類のオフサイドがありますが、その中でも「10mサークル」という言葉が出てくるのは、主にキックを使ったプレーの場面です。まずは、この言葉が何を意味しているのか、基本的なイメージを掴んでいきましょう。

10mサークルとはどこを指すのか

「10mサークル」という言葉は、実は現在の公式ルールブックに載っている正式名称ではありません。しかし、ラグビーの現場や解説では頻繁に使われる言葉です。これは、「ボールが落下した地点(または相手がキャッチした地点)」を中心とした半径10メートルの範囲を指します。フィールド上に線は引かれていませんが、レフリーと選手たちの頭の中には、この「見えない円」が存在しています。味方が蹴ったボールを追いかける際、この円の中に最初からいた選手には、通常のオフサイドよりも厳しい義務が課せられるのです。

キックにおけるオフサイドの原則

そもそもラグビーでは、ボールを持っている味方(この場合はキッカー)よりも前にいる選手は全員「オフサイド」の位置にいます。オフサイドの位置にいる選手は、プレーに関与してはいけません。これが大原則です。キックの場合、蹴った本人か、蹴った地点より後ろにいた味方が走り込んで追い越すまで、前方にいる選手はプレーに参加できません。これを「キックオフサイド」と呼びます。ここまでは多くの人が知っているルールですが、10mサークルが関わると、さらに話が具体的になります。

なぜ「サークル(円)」と呼ぶのか

かつてのルールや指導の現場で、ボールの落下点から「10メートル離れろ」という指導が徹底されていたため、落下点を中心とした円(サークル)をイメージさせるこの言葉が定着しました。現在では「10メートル法(The 10-meter law)」という名称でルールブックに記載されていますが、意味合いは同じです。ボールが落ちてくる場所の近くに待ち構えているオフサイドプレイヤーは、相手選手にとって邪魔な存在であり、安全にキャッチする権利を侵害する可能性があるため、この「円」の中から退去しなければならないのです。

キック時のオフサイドで注意すべき「10メートル法」

ここでは、最も重要な「10メートル法」の具体的なルールについて解説します。通常のオフサイドとは違い、「ただ立っているだけ」でも反則になってしまうケースがあるのがこのルールの怖いところです。

「ただちに後退する」という義務

味方がボールを蹴った瞬間、前方にいて、なおかつボールが落下する地点(または相手がキャッチする地点)から10メートル以内の範囲にいる選手には、厳しいルールが適用されます。それは、「ただちに想像上の10メートルラインまで後退しなければならない」というものです。通常のオフサイドであれば、プレーに関与せず立ち止まっていれば反則を取られないこともありますが、この10mサークル内にいる選手は、立ち止まるだけではダメです。相手に場所を空けるために、一生懸命下がらないといけません。

ポイント:
ボール落下点から10m以内のオフサイドプレイヤーは、プレーに関与しなくても「下がらないこと」自体が反則(ペナルティ)になります。

レフリーの「10!」というコールの意味

試合中、ボールが高く蹴り上げられた瞬間に、レフリーが大きな声で「テン(10)!」や「バック(下がれ)!」と叫ぶことがあります。これは、落下点付近にいるオフサイドプレイヤーに対して「お前は10mサークルの中にいるぞ!すぐに下がれ!」と警告しているのです。この声が聞こえた瞬間に選手が背を向けて走って戻れば、レフリーは「後退の意志あり」とみなして反則を取りません。しかし、この声を無視してその場に留まったり、あまつさえボールを取りに行ったりすれば、即座に笛が吹かれます。

「10m」の距離感と厳しさ

10メートルというのは、ラグビーコートにおいては意外と広い距離です。センターラインから10メートルラインまでの距離を想像してください。ボールの落下点からそれだけの距離を、全力でバックしなければならないのです。これは選手にとって体力的に非常にきつい動きです。しかし、これを怠ると相手にペナルティキックを与えてしまい、一気に3点を取られたり、自陣深くまで攻め込まれたりする原因になります。そのため、規律のあるチームほど、この「バック」の動きを徹底しています。

反則が起きた場合の再開方法

もし10メートル法に違反してオフサイドを取られた場合、相手チームには「ペナルティキック」が与えられます。場所は、反則(オフサイド)があった地点か、あるいはスクラムを選択することも可能です。ペナルティキックは得点に直結する非常に重い罰則です。たった一人の選手が「下がるのをサボった」だけで、試合の勝敗を分けることもあるため、10mサークルの攻防は非常にシビアなものなのです。

10mサークルオフサイドが起こりやすいシチュエーション

この反則は、試合中のどのような場面でよく見られるのでしょうか。観戦中に「あ、今は10mサークルの状況だ」と気づけるようになると、試合の流れを読む力が一段とアップします。

ハイパント(高く蹴り上げるキック)

最も頻繁に起こるのが「ハイパント」の場面です。攻撃側が相手ディフェンスの背後や競り合いを狙ってボールを高く蹴り上げた際、チェイス(追いかける選手)が間に合わず、もともと前方にいた味方選手が落下点近くに残ってしまうケースです。この時、残された選手がボールを見上げて立ち止まってしまうと、10mサークルオフサイドになります。特にハーフウェイライン付近での攻防でよく見られます。

キックのミスキックや予期せぬバウンド

キッカーが意図せず短いキックをしてしまった場合(ミスキック)や、相手選手に当たってボールが不規則な方向に飛んだ場合も危険です。味方選手たちは「まさかここにボールが来るとは」と反応が遅れがちです。しかし、ルール上は味方が蹴ったボールであることに変わりはないため、近くにいた選手はすぐに反応して下がらないといけません。不測の事態こそ、選手のルール理解度が試されます。

ロングキックの蹴り合い(キックテニス)

お互いに陣地を挽回しようとしてロングキックを蹴り合う展開、通称「キックテニス」の状態でも注意が必要です。フィールドの中盤に残っている選手たちは、ボールが頭上を行き交うたびに、行ったり来たりを繰り返さなければなりません。疲労が溜まってくると、この「戻る動き」が遅れ、相手がキャッチする瞬間に10メートル以内に留まってしまい、反則を取られることがあります。

最近のルール改正に注意
近年、フィールド中央で選手が立ち止まる「省エネ」を防ぐため、ルールが厳格化されています(通称:デュポン・ルールの修正)。キック合戦中であっても、オフサイドプレイヤーは明確に下がる努力を見せないと反則を取られる傾向が強まっています。

オフサイドを解消してオンサイドになる条件

オフサイドの位置にいる選手も、永遠にプレーできないわけではありません。特定の条件を満たせば「オンサイド」となり、再びプレーに参加できるようになります。10mサークルの状況下で、選手はどうやって復帰するのでしょうか。

キッカーや味方が追い越す

最も基本的で確実な方法は、ボールを蹴った本人(キッカー)、またはキックした瞬間にキッカーよりも後ろにいた味方選手(オンサイドプレイヤー)が走ってきて、オフサイドの選手を追い越すことです。追い越された瞬間に、オフサイドだった選手は「オンサイド」となり、プレーに参加できるようになります。そのため、キッカーは蹴った後に全力で前に走り、味方を「救出」しに行く動きが求められます。

自分自身で後退する

10mサークルのルールでは、これが最も重要です。オフサイドプレイヤー自身が、相手側のゴールライン方向へ向かって走り、ボール落下点から10メートル以上離れるか、味方のオンサイドプレイヤーの後ろまで戻れば、反則ではなくなります。ただし、単に戻るだけでなく、「相手がプレーするのを妨害していない」ことが前提です。

相手のプレーによる解消(注意が必要)

通常のオフサイドでは、相手がボールを持って5メートル走ったり、パスやキックをしたりするとオフサイドが解消されるルールがあります。しかし、10メートル法が適用される状況(落下点の近くにいる場合)では、この「相手のアクションによる解消」を待っていてはいけません。相手がキャッチしたとしても、自分が10m以内にいて下がろうとしていなければ、その時点で反則です。「相手が動いたからいいや」とサボることは許されないのが、このルールの厳しい点です。

メモ:かつては相手が5m走ればオンサイドになる規定がありましたが、現在はルールの解釈が変わり、オフサイドプレイヤーには常に「下がる努力」が求められます。特に落下点付近では厳格です。

観戦初心者でもわかる!反則を見分けるポイント

最後に、テレビやスタジアムで試合を見ている時に、「あ、これは10mサークルの反則だ!」と見分けるための注目ポイントを紹介します。これを知っていると、レフリーが笛を吹いた理由がすぐにわかります。

キック直後の選手の動きを見る

誰かがボールを高く蹴り上げたとき、ボールの行方だけでなく、その落下点付近にいる「キッカー側のチームの選手」に注目してください。もし、ボールが落ちてくる場所の近くで、棒立ちになってボールを見上げている選手がいたら、その選手は「オフサイド」予備軍です。逆に、すぐに背中を向けて自陣へダッシュで戻っている選手がいれば、それはルールをよく理解している素晴らしいプレーです。

相手のキャッチする選手の周囲を見る

ボールをキャッチしようとしている選手の周りに、半径10メートルの透明な円をイメージしてみてください。その円の中に、敵チームの選手が入っていませんか?そして、その選手が相手にプレッシャーをかけていませんか?もし円の中にいて、下がらずに待ち構えていれば、キャッチした直後に笛が鳴る可能性が高いです。

レフリーのジェスチャーに注目

レフリーが笛を吹いた後、片手を上げて「10(テン)」と指を広げたり、手を後ろに振るようなジェスチャー(下がれという意味)をしていたりすれば、それは10mサークル関連のオフサイドです。また、最近ではスタジアムのビジョンやテレビ中継で「Offside within 10m」と表示されることもあります。

観戦のコツ:
ボールの滞空時間が長いハイパントの時は、ボールではなく「落下点にいる選手たち」を見ると、玄人好みの駆け引きが楽しめます。

10mサークルとオフサイドのまとめ

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーの「10mサークル」とオフサイドのルールについて解説してきました。一見複雑そうに見えますが、ポイントを整理するとシンプルです。

まず、「10mサークル」とはキックの落下点を中心とした半径10メートルの範囲のこと。そして、その範囲内にいる味方選手(オフサイドプレイヤー)は、「ただちに下がらなければならない」というのが鉄則です。ただ立っているだけでも、相手のプレーを妨害したとみなされ、重いペナルティが課せられます。

このルールは、ボールをキャッチする選手が無防備な状態でタックルされるのを防ぎ、安全を確保するために非常に重要です。また、攻撃側にとっては、キックをした後に全員で組織的にチェイス(追走)することの重要性を説くルールでもあります。

試合観戦中に高いキックが上がったら、ぜひボールの行方だけでなく、その下で繰り広げられる「下がる選手」と「追う選手」の動きに注目してみてください。10mサークルの攻防がわかれば、ラグビーの奥深さをより一層楽しめるはずです。

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