ラグビーを始めるお子さんや、久しぶりにボールに触れたい大人の方にとって、最初に直面する疑問が「どのボールを選べばいいの?」ということではないでしょうか。特にインターネットやスポーツ用品店で探していると、「4号球」と「5号球」というサイズの違いが目に入ります。見た目はそっくりな楕円形のボールですが、実はこの数字の違いには、プレーの質や上達スピードを左右する重要な意味が込められているのです。
もし体に合わないサイズのボールを選んでしまうと、パスが上手に投げられなかったり、キックの感覚が掴めなかったりと、せっかくの練習効率が下がってしまうこともあります。この記事では、ラグビーボールの4号と5号の決定的な違いから、年齢や用途に合わせた最適な選び方、そして長く使い続けるためのお手入れ方法までをやさしく解説します。あなたにぴったりのボールを見つけて、ラグビーをもっと楽しみましょう。
まず結論!ラグビーボール4号と5号の決定的な違い

ラグビーボールを選ぶ際、最も基本となるのが「号数(サイズ)」です。サッカーボールと同じように、ラグビーボールにも年齢や体格に応じた規格が定められています。4号と5号、たった1つの数字の違いですが、実際に手に持ってみるとその大きさや重さには明確な差があります。まずは、それぞれのサイズがどのような対象者を想定して作られているのか、基本知識を押さえておきましょう。
5号球は中学生以上からプロまで使う「世界基準サイズ」
5号球は、中学生以上のカテゴリーで使用される最も標準的なサイズです。高校ラグビー(花園)、大学ラグビー、社会人リーグ、そしてワールドカップなどの国際試合に至るまで、大人の試合はすべてこの5号球で行われます。つまり、中学生になったらプロ選手と同じ大きさ、同じ重さのボールを使ってプレーすることになるのです。
これからラグビーを始める中学生や高校生、あるいは社会人のサークルで汗を流したいと考えている方は、迷わずこの5号球を選んでください。小学校を卒業して中学のラグビー部やスクールに入ると、ボールが4号から5号へと切り替わります。最初は「大きくて重い」と感じるかもしれませんが、このサイズ感に慣れることがステップアップの第一歩となります。
4号球は小学生(高学年)向けに作られた「ジュニアサイズ」
4号球は、主に小学校高学年(3・4年生~6年生)を対象としたジュニア向けのサイズです。5号球に比べてひと回り小さく、少し軽量化されているのが特徴です。子供の手のひらの大きさに合わせて設計されているため、握りやすく、パスやキャッチの基礎技術を習得するのに適しています。
多くのラグビースクールでは、小学校3年生または4年生あたりからこの4号球を使用し始めます。高学年になると体も大きくなり、キックの力も強くなってきますが、まだ大人の5号球を扱うには筋力や手の大きさが足りません。無理に大きなボールを使うとフォームが崩れる原因にもなるため、この時期は4号球を使って正しいスキルを身につけることが非常に重要です。
3号球は小学校低学年や幼児が最初に触れるボール
さらに下の年代、小学校低学年(1・2年生)や未就学児の場合は、「3号球」を使用するのが一般的です。4号よりもさらに小さく軽いため、恐怖心を持たずにボール遊びを楽しむことができます。ラグビーを始めたばかりの小さなお子さんにとって、ボールを抱えて走ったり、転がってくるボールを拾ったりする動作は意外と難しいものです。
3号球であれば、小さな手でもしっかりと抱え込むことができ、「できた!」という成功体験を得やすくなります。兄弟でラグビーをする場合など、下のお子さん用には3号球を用意してあげるのが優しさです。まずはボールと仲良くなることからスタートしましょう。
【比較表】重さと大きさの違いを一目でチェック
それぞれのサイズにどれくらいの違いがあるのか、具体的な数字で比較してみましょう。メーカーによって多少の誤差はありますが、国際的な規格はおおよそ以下のようになっています。
| サイズ | 対象年齢(目安) | 長さ | 重さ |
|---|---|---|---|
| 5号球 | 中学生以上~社会人 | 約285mm | 約410~460g |
| 4号球 | 小学校高学年 | 約275mm | 約380~400g |
| 3号球 | 小学校低学年・幼児 | 約255mm | 約360~380g |
練習用と試合用は何が違う?素材とグリップ力

サイズが決まったら、次は「素材」や「種類」に注目してみましょう。実はラグビーボールには、日々のトレーニングに適した「練習球」と、公式戦で使われる「試合球(マッチボール)」があります。見た目は似ていますが、使われているゴムの質や表面の加工、そして価格に大きな違いがあります。用途に合わないボールを選んでしまうと、すぐに摩耗してしまったり、逆に高価すぎて使いづらかったりすることがあるので注意が必要です。
毎日の練習には耐久性とグリップに優れた「ゴム製」
部活動やスクールでの普段の練習、あるいは公園での自主練習用として購入するなら、「練習球」として販売されているものが断然おすすめです。これらは主に耐久性の高い天然ゴムや合成ゴムを配合して作られており、地面との摩擦に強く設計されています。土のグラウンドや芝生ではない場所で使っても、表面が削れにくいのが特徴です。
また、練習球は表面のグリップ(滑り止め)が強めに加工されていることが多く、汗や泥がついた手でも滑りにくいという利点があります。価格も比較的リーズナブルなので、消耗品としてガシガシ使えるのも嬉しいポイントです。「プラクティスボール」や「トレーナー」といった名称で売られていることが多いので、探すときの参考にしてください。
試合本番を想定するなら「特殊ラバー素材」の認定球
一方、公式戦で使われる「試合球」は、より高度なパフォーマンスを発揮できるように作られています。特殊なラバー素材や高品質なバルブが採用されており、飛行安定性やキックの正確性が高まるよう設計されています。日本ラグビーフットボール協会などの認定マークが入っているボールがこれに当たります。
試合球は非常に高性能ですが、練習球に比べると表面のゴムが柔らかく繊細なため、土のグラウンドで毎日使うと摩耗が早くなる傾向があります。また、価格も練習球の2倍~3倍することが一般的です。大事な試合の前の調整用や、プレゼントとして贈る場合など、特別な一球として選ぶのがよいでしょう。
表面の「つぶつぶ」加工はメーカーによって特徴がある
ラグビーボールの表面をよく見ると、細かい「つぶつぶ」とした突起があるのに気づくはずです。これはボールを握ったときの滑り止め効果を生むための重要な加工ですが、実はメーカーやモデルによってこの形状が異なります。丸い粒だったり、少し尖った形状だったり、星型のような模様だったりと様々です。
このつぶつぶの形状や配置によって、パスを投げるときの指のかかり具合や、雨天時の滑りにくさが変わってきます。例えば、手が小さい子供向けの4号球では、より指がかかりやすいように粒が深めに設計されているモデルもあります。店頭で触れる機会があれば、ぜひ自分の手で握り心地を確かめてみてください。
デザインだけで選ぶと失敗する?レプリカボールの注意点
スポーツショップに行くと、各国の代表チームや有名クラブチームのロゴが入ったカラフルなボールが並んでいます。これらは「レプリカボール」と呼ばれ、ファンアイテムとしての側面が強い商品です。見た目は非常にかっこいいのですが、本格的な練習に使う場合は少し注意が必要です。
レプリカボールの中には、表面がつるつるしていてグリップ力が弱かったり、素材が観賞用向けの廉価なものであったりする場合があります。もちろん、軽いキャッチボール程度なら問題ありませんが、本格的なパス練習やスクリューキックの練習をするには機能性が足りないこともあります。「デザインがかっこいいから」という理由だけで選ばず、表面の素材感もしっかりチェックしましょう。
上達の鍵!ポジションや手の大きさに合わせた選び方

ラグビーはポジションによってボールに触れる機会や役割が全く異なります。また、成長期の子供たちは同じ学年でも手の大きさに個人差があります。「自分に合ったボール」を選ぶことは、怪我を防ぐだけでなく、スキルアップの近道にもなります。ここでは、少し踏み込んだ視点での選び方をご紹介します。
スクラムハーフやスタンドオフはサイズ感が命
ラグビーの中でも特にボールに触れる回数が多いのが、スクラムハーフ(SH)やスタンドオフ(SO)といったハーフ団のポジションです。彼らは地面にあるボールを素早く拾い上げ、長い距離のパスを正確に投げる必要があります。そのため、ボールのサイズ感やグリップの感触には人一倍こだわりを持つ選手が多いです。
もし将来的にこれらのポジションを目指すのであれば、普段から規定サイズのボールに慣れ親しんでおくことが不可欠です。中学生になるタイミングで4号から5号に変わった直後は、パスの飛距離が落ちたりコントロールが乱れたりすることがよくあります。この時期は焦らず、新しいサイズでの「手の位置」や「指のかけ方」を再確認しながら練習することが大切です。
キッカーが知っておくべきサイズによる飛距離の違い
キックを担当する選手にとっても、ボールサイズの変化は大きな影響を与えます。4号球と5号球では、ボールの芯(スイートスポット)の位置や、蹴ったときの反発力が異なります。4号球の感覚で5号球を蹴ると、思ったよりも重く感じたり、飛距離が伸びなかったりすることがあります。
5号球は重量がある分、正しくミートすれば4号球よりも遠くへ飛ばすことができますが、それにはしっかりとした脚力とインパクトの技術が必要です。ボールが変わるタイミングでは、力任せに蹴るのではなく、まずは短い距離でボールの芯を捉える感覚を養うドリルから始めることをおすすめします。
迷った時は「スクールの指定」や「手のサイズ」を優先しよう
ここまでサイズの違いを説明してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきか迷った場合は、所属している(または入会予定の)ラグビースクールや部活動の指導方針に従うのが一番です。一般的には高学年から4号球ですが、スクールによっては「中学年から4号に触れさせる」ところもあれば、「高学年でも手の小さい子は3号で基礎を固める」という方針のところもあります。
もし個人的な練習用として購入する場合で、学年と手の大きさが合っていないと感じるなら、無理に上のサイズを選ぶ必要はありません。例えば、高学年でも手が小さくて4号球を片手で保持できないようなら、自宅練習では3号球を使って「ボールを自在に扱う感覚」を養うのも一つの有効な手段です。
ハンドリングスキル向上にあえて小さいボールを使う練習法
実は、上級者やプロ選手の中には、練習であえて小さいサイズのボールを使うことがあります。例えば、5号球を使う選手が4号球や3号球を使ってハンドリング練習をするのです。小さいボールは的が小さいため、より正確に中心を捉える集中力が必要になります。
また、テニスボールのような極小のボールを使ってパス練習をすることもあります。これは手先だけでなく体全体を使ってボールを運ぶ感覚を養うためです。もし家に弟や妹の使わなくなった小さいボールがあれば、捨てずにハンドリング練習用として活用してみるのも面白い練習法と言えるでしょう。
人気メーカーの特徴を比較!ギルバート・カンタベリー・セプター

ラグビーボールにはいくつかの有名メーカーがあり、それぞれに特徴やファンがいます。「どれも同じでしょ?」と思われがちですが、蹴り心地やグリップの質感には個性があります。ここでは、日本国内でよく見かける主要ブランドの特徴を紹介します。
【ギルバート】W杯でも採用される世界No.1シェアの信頼感
ラグビーボールと言えば「ギルバート(GILBERT)」というほど、世界中で圧倒的なシェアを誇るブランドです。ラグビーワールドカップの公式球としても長年採用されており、テレビ中継で見るボールのほとんどがこのメーカーのものです。特徴は、独自のバルブシステムによる飛行安定性と、指によく馴染むグリップパターンです。
世界基準のボールなので、将来的に高いレベルを目指すならギルバートのボールに慣れておくのが無難です。デザインのバリエーションも豊富で、各国の代表チームモデルなども販売されています。機能性とブランド力の両方を求めるなら、ギルバートを選べば間違いありません。
【カンタベリー】日本代表ウェアでおなじみ!練習球としても人気
ラグビーウェアのトップブランドとして知られる「カンタベリー(Canterbury)」も、高品質なラグビーボールを製造しています。アパレルでおしゃれなイメージが強いですが、ボール作りも本格的です。特に天然ゴムを使用した練習球は、耐久性が高く、日本の硬い土のグラウンドでも長持ちすると評判です。
カンタベリーのボールは、視認性の高いカラーリングやスタイリッシュなデザインが魅力です。他の人と被りたくない人や、ウェアとブランドを合わせたい人におすすめです。日本国内での流通量も多く、スポーツ用品店で手に入りやすいのもメリットです。
【セプター】日本の高校・大学ラグビー界で愛される伝統ブランド
「セプター(SCEPTRE)」は、日本のラグビー史を支えてきた老舗メーカーです。長年にわたり、全国高校ラグビー大会(花園)や大学選手権などの公式球として採用されてきた実績があります。そのため、日本の部活動では「ボールと言えばセプター」という指導者も多くいます。
セプターのボールは、日本人の手に馴染みやすい質感と、職人気質な作りが特徴です。特に雨の日でも滑りにくい特殊加工が施されたモデルなどは、日本の気候に合わせて進化してきました。古くからのラグビーファンや、伝統的なスタイルを好むチームには絶大な信頼を得ています。
【モルテン】学校の授業でも使われる安心の国産メーカー
学校の体育の授業などでよく見かけるのが「モルテン(molten)」のボールです。バスケットボールやバレーボールでも有名ですが、ラグビーボールもしっかり製造しています。モルテンのボールは、ゴムの質が柔らかく、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
また、アディダスのラグビーボールの製造元も実はモルテンであることが多いため、品質はお墨付きです。価格と性能のバランスが良く、初めてのマイボールとして購入するのにも適しています。どこか懐かしい、安心感のある使い心地が魅力です。
ボールを長持ちさせる正しい空気圧とメンテナンス

お気に入りのボールを手に入れたら、できるだけ長く良い状態で使いたいものです。ラグビーボールはゴム製品なので、使いっぱなしにすると劣化が早まります。ここでは、意外と知られていない正しい空気の入れ方やお手入れ方法について解説します。
パンクを防ぐために必須!空気を入れる前の「ひと手間」
ボールの空気を入れる際、いきなり針をブスッと刺していませんか?実はこれがボールの寿命を縮める最大の原因です。乾燥した針をバルブ(空気穴)に無理やり押し込むと、内部のゴムを傷つけてしまい、そこから空気が漏れる「パンク」の原因になります。
空気を入れるときは、必ず空気針を水や専用の潤滑剤(グリセリンなど)で濡らしてから、垂直にゆっくりと差し込むようにしましょう。この「ひと手間」をかけるだけで、バルブの損傷を防ぎ、ボールを長持ちさせることができます。唾で濡らす選手もいますが、衛生面やサビの原因になるため、できれば水を使いましょう。
4号と5号で空気圧は違う?適正数値の確認方法
ラグビーボールには、サイズごとに「適正空気圧」が決まっています。通常、ボールの空気穴の近くに「9.5 psi」や「0.67 kg/cm²」といった小さな文字で記載されています。4号球も5号球も基本的には近い数値ですが、子供が使う場合は少し低めの空気圧に設定することをおすすめします。
規定通りのパンパンの状態だと、子供にとっては硬すぎてキャッチした時に突き指をしたり、当たった時に痛かったりすることがあるからです。練習用であれば、指で押して少し凹むくらい(0.5~0.6 kg/cm²程度)に調整してあげると、恐怖心が薄れてキャッチしやすくなります。慣れてきたら徐々に規定圧に近づけていきましょう。
練習後の汚れはどうする?水洗いの可否と保管場所
土のグラウンドで練習した後のボールは泥だらけになります。ゴム製の練習球であれば、基本的に水洗いしても問題ありません。タワシなどで強くこすりすぎるとグリップ(つぶつぶ)が削れてしまうので、スポンジや雑巾で優しく泥を落とすのがポイントです。洗った後は直射日光を避けて、風通しの良い日陰で乾かしましょう。
保管場所にも注意が必要です。ゴムは紫外線や熱に弱いため、車のトランクに入れっぱなしにしたり、ベランダに放置したりすると、表面が劣化してヒビ割れたり変色したりします。また、極端に空気を抜いて保管する必要はありませんが、長期間使わない場合は少し空気を抜いておくと、ゴムへの負担を減らすことができます。
形が歪んでしまったボールは元に戻るのか?
ラグビーボールを使っていると、ごく稀に空気を入れすぎて形がいびつになったり、保管状態が悪くて変形してしまったりすることがあります。残念ながら、一度伸びて変形してしまったゴムや縫い目は、基本的には元に戻りません。
変形したボールは、バウンドが不規則になったり、パスが真っ直ぐ飛ばなかったりするため、練習の質を下げてしまいます。多少の歪みなら遊び用として使えますが、明らかに形がおかしい場合は、上達のためにも新しいボールへの買い替えを検討してください。「消耗品」と割り切って、常に良い状態のボールを使うこともスキルアップには欠かせません。
まとめ:4号と5号の違いを理解して最適な一つを選ぼう
ラグビーボールの4号と5号の違いを中心に、選び方のポイントやお手入れ方法まで解説してきました。最後に改めて重要なポイントを振り返ってみましょう。
最も重要なのは「年齢と手の大きさに合ったサイズ」を選ぶことです。中学生以上なら世界基準の「5号球」、小学校高学年ならジュニア向けの「4号球」、低学年以下なら「3号球」が基本の選び方となります。体に合わない大きなボールを無理に使うよりも、適正サイズのボールで正しいフォームとハンドリングスキルを身につける方が、結果的に上達への近道となります。
また、用途に合わせて素材を選ぶことも大切です。日々の激しい練習には耐久性に優れたゴム製の練習球を、試合感覚を養いたいならグリップの良い認定球を選びましょう。ギルバートやカンタベリーといったメーカーごとの特徴も理解しておくと、より自分好みのボールに出会えるはずです。
たかがボール、されどボール。ラグビー選手にとってボールは最高の相棒です。この記事を参考に、あなたや未来のラガーマンにとってベストな一球が見つかることを願っています。
記事の要点まとめ
・5号球は中学生~大人用、4号球は小学校高学年用
・練習には「ゴム製」、試合用には「特殊ラバー」がおすすめ
・迷ったらスクールの指定や手の大きさを優先する
・空気を入れる時は必ず針を濡らしてパンクを防ぐ



