フェイズとは?ラグビー観戦がもっと面白くなる基礎知識を徹底解説

フェイズとは?ラグビー観戦がもっと面白くなる基礎知識を徹底解説
フェイズとは?ラグビー観戦がもっと面白くなる基礎知識を徹底解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合をテレビで見ていると、実況アナウンサーが「現在、フェイズ10です」や「フェイズを重ねて攻撃しています」と伝えているのを耳にしたことはありませんか。「なんとなく攻撃が続いていることかな?」とイメージできても、具体的に何を数えているのか、いつ始まっていつ終わるのかまでは分からないという方も多いはずです。

この「フェイズ」という言葉の意味を理解すると、ラグビーの攻防が持つリズムや、選手たちが何を狙って動いているのかが手に取るように分かるようになります。ただボールを繋いでいるだけに見えるシーンにも、実は緻密な計算と激しい駆け引きが隠されているのです。

この記事では、ラグビー初心者の方に向けて「フェイズ」の基本的な意味から、なぜ攻撃側がフェイズを重ねようとするのか、その戦術的な意図までをやさしく解説します。専門用語を知ることで、観戦の楽しさはぐっと広がります。

ラグビーの「フェイズ」とは何か?基本的な意味を解説

まずは、フェイズという言葉の基本的な定義について確認していきましょう。ラグビー特有の試合の流れを知る上で、最も重要な単位の一つです。

フェイズ(Phase)とは

タックルによってボール保持者が倒され、その地点で「ラック(密集)」が形成されてから、ボールが再び出るまでの一連のプレーの区切りのこと。攻撃側がボールを継続して保持し続ける限り、この回数がカウントされていきます。

ブレイクダウンから始まる攻撃の区切り

ラグビーの攻撃は、ボールを持って走り、タックルされて倒れるところから次の展開が始まります。倒された選手を中心に敵味方が集まり、ボールを奪い合う「ラック」と呼ばれる密集状態が生まれます。このラックからボールが味方にパスされ、再び攻撃が始まるまでが「1フェイズ」です。

つまり、「フェイズ数」とは、攻撃側が「タックルされてラックを作り、そこからボールを出して再攻撃する」というサイクルを何回繰り返すことができたかを表す数字です。この数が多ければ多いほど、相手にボールを渡さずに長く攻撃を継続していることを意味します。

実況でよく聞く「フェイズを重ねる」の意味

テレビ中継などでよく耳にする「フェイズを重ねる」という表現は、攻撃側がボールを失わずに何度もラックを作り直し、連続攻撃を仕掛けている状態を指します。ラグビーには、アメリカンフットボールの「4回の攻撃権」や、ラグビーリーグ(13人制)の「6回のタックル制限」のような回数制限がありません。

そのため、反則を犯したりミスをしてボールを落としたりしない限り、理論上は無限にフェイズを重ねて攻撃を続けることが可能です。実際にトップレベルの試合では、20回、30回とフェイズを重ねて、数分間にわたり攻撃し続けるシーンも見られます。

フェイズが終了するタイミングとは

カウントされていたフェイズが「0」に戻る、つまりその一連の攻撃が終了するのは、主にボールの所有権が移ったり、プレーが止まったりした瞬間です。最も分かりやすいのは、攻撃側がトライを決めたときや、ペナルティを犯してしまったときです。

また、パスを前に投げてしまう「スローフォワード」や、ボールを前に落とす「ノックオン」といったミスがあった場合もフェイズは終了します。さらに、ボールを持ってタッチラインの外に出たり、ディフェンス側にボールを奪われたり(ターンオーバー)した場合も、そこでカウントはリセットされます。

サッカーやアメフトとの違い

他の球技と比較すると、ラグビーのフェイズの特殊性がよく分かります。サッカーではボールが動いている限りプレーは連続しており、明確な「区切り」を数えることはあまりありません。一方でアメリカンフットボールは、プレーごとに試合が完全に止まり、毎回セットし直します。

ラグビーのフェイズはその中間のような性質を持っています。試合は止まらずに流動的に続きますが、ラックという「接点」ができるたびに攻撃の形がリセットされ、作り直されます。この「連続しているけれど、区切りがある」という独特のリズムが、ラグビー観戦の面白さの一つです。

フェイズを重ねることのメリットと攻撃側の狙い

攻撃側は、なぜ苦しい思いをして何度も身体をぶつけ、フェイズを重ねようとするのでしょうか。そこには明確な戦術的メリットが存在します。

ディフェンスの整備を遅らせて隙を作る

フェイズを重ねる最大の目的は、相手のディフェンス組織を崩すことです。ラックが形成されると、ディフェンス側の選手はその周辺に集まり、次の攻撃に備えてラインを整えなければなりません。しかし、攻撃側が素早くボールを出して次のフェイズへ移行すれば、ディフェンス側は整列する時間がなくなります。

素早いテンポでフェイズを繰り返すことで、ディフェンスのラインに「並び遅れ」や「人数の偏り」が生じやすくなります。攻撃側はその一瞬の隙を見逃さず、手薄になった場所を突破してトライを狙うのです。

相手選手の体力を削りミスマッチを誘う

タックルをしてすぐに起き上がり、次の守備位置まで走るという動作は、想像以上に体力を消耗します。何十回とフェイズが重なると、ディフェンス側の選手、特に身体の大きなフォワード選手は徐々に動きが鈍くなってきます。

疲労が蓄積すると、足の速いバックスの選手に対して、動きの鈍くなったフォワードの選手が対応せざるを得ない状況が生まれることがあります。これを「ミスマッチ」と呼びます。攻撃側は意図的にボールを動かし続けることで相手を疲れさせ、こうした有利な状況を作り出そうとします。

ペナルティを誘発するチャンスが増える

ディフェンス側にとって、自陣ゴール前で何フェイズも攻撃を受け続けることは精神的にも大きなプレッシャーになります。「早くボールを奪いたい」「ここで止めなければ」という焦りは、規律を乱す原因となります。

その結果、オフサイド(プレーしてはいけない位置にいる反則)や、ラックでの反則を犯してしまう可能性が高まります。攻撃側にとってフェイズを重ねることは、トライを取るだけでなく、相手の反則を誘ってペナルティキックなどのチャンスを得るための手段でもあるのです。

フェイズ中の重要プレー「ブレイクダウン」を深掘り

フェイズが続くかどうかは、タックルが起きた後のボール争奪戦、いわゆる「ブレイクダウン」の結果にかかっています。ここでは特に激しい攻防が行われます。

タックル成立後のボール確保の戦い

ボールを持った選手がタックルで倒された直後、そこには一瞬、ボールが無防備になる時間が生まれます。攻撃側はすぐに仲間が寄ってきて、倒れた選手の上を跨ぐようにして壁を作り、ボールを守らなければなりません。これを「オーバー」と呼びます。

もし味方の援護が遅れれば、相手ディフェンスにボールを奪われてしまいます。フェイズを継続するためには、ボールキャリアー(持っている人)が倒れ方を工夫し、周囲の選手が瞬時に反応してボールを確保し続ける必要があります。

クリーンアウトとは

ボールを奪いに来た相手選手を、身体をぶつけて剥がし、ラックから排除するプレーのこと。安全かつ激しく相手を排除することで、綺麗なボールを味方に供給できます。

ジャッカルとオーバーの攻防

守備側もただ見ているわけではありません。タックル成立直後、守備側の選手が立ったままボールに手をかけ、奪い取ろうとするプレーを「ジャッカル」と呼びます。成功すれば相手の反則(ノット・リリース・ザ・ボール)を誘ったり、ボールを奪い返したりすることができます。

攻撃側はこのジャッカルを防ぐために、猛スピードで密集に突っ込みます。フェイズのカウントが進む裏側では、この「ボールを奪いたい選手」と「ボールを守りたい選手」による激しい肉弾戦が、ラックのたびに繰り返されているのです。

スムーズなリサイクルが攻撃を加速させる

フェイズを重ねる上で重要なのが「リサイクル(ボールの再利用)」の速さです。ラックからボールが出るまでの時間が短ければ短いほど、ディフェンスは準備が間に合わず、攻撃側が有利になります。

これを「クイックボール」と呼びます。逆に、ラックでの攻防に時間がかかり、ボールが出るのが遅くなると「スローボール」となり、ディフェンスラインは完璧に整ってしまいます。単にフェイズ数を増やすだけでなく、いかに素早くボールをリサイクルできるかが、得点力の鍵を握っています。

ディフェンス側から見たフェイズへの対抗策

攻撃側がフェイズを重ねようとする一方で、守備側はその連鎖を断ち切ろうと必死に抵抗します。ディフェンス側の視点を知ると、攻防の深みが増します。

ラインスピードを上げてプレッシャーをかける

守備側がフェイズ攻撃を止めるための有効な手段の一つが、前に出るスピードです。攻撃側がボールを受け取る瞬間に間合いを詰めてタックルできれば、相手を後退させることができます。

これを「ラインスピードを上げる」と言います。攻撃側が勢いに乗る前にプレッシャーをかけ、判断ミスやハンドリングエラー(ボールの落球など)を誘発させ、フェイズを強制終了させることを狙います。

ターンオーバーを狙う瞬間の見極め

すべてのラックでボールを奪いにいく(ジャッカルを狙う)のは危険です。なぜなら、ジャッカルに入った選手は守備ラインから一人減ることになるため、もし失敗すればそこに穴が空いてしまうからです。

優れたディフェンスは、相手のサポートが遅れた瞬間や、ボールキャリアーが孤立した瞬間を見極めてボールを奪いにいきます。無闇に飛び込まず、我慢して壁を作り、ここぞという瞬間にだけ鋭く刺さる判断力が求められます。

我慢のディフェンスと規律の重要性

20フェイズ以上も攻撃が続くと、ディフェンス側は肉体的にも精神的にも限界に近づきます。しかし、ここで苦し紛れに反則をしてしまうと、これまでの努力が水の泡になります。

トップチームのディフェンスは、どんなに攻め込まれても規律を守り、反則をせずに我慢し続けます。そして、相手が攻め疲れてミスをするのを待つ、あるいは強力なタックルで局面を打開するという、極めて忍耐強い戦い方を徹底しています。

現代ラグビーにおけるフェイズ数の傾向と戦術

近年のラグビーでは、フェイズに対する考え方や戦術も進化しています。ただ長く続ければ良いというわけではありません。

ショートフェイズとポッドシステムの活用

現代ラグビーでは、グラウンド上にフォワードの選手を3人程度のユニット(塊)に分けて配置する「ポッド」という戦術が主流です。あらかじめ配置されたポッドにボールを運び、そこで確実にポイント(ラック)を作ることで、安定してフェイズを重ねることができます。

これにより、以前のように全員がボールに群がることがなくなり、グラウンド全体を広く使った効率的な連続攻撃が可能になりました。システム化された動きで、少ない労力で効果的にフェイズを進める工夫がなされています。

長いフェイズが必ずしも良いとは限らない理由

「フェイズ数が多い=良い攻撃」とは限りません。フェイズが多くなるということは、それだけ相手のディフェンスが崩れていない、あるいは攻撃側が攻めあぐねているという見方もできます。

また、接点(タックル)の回数が増えれば、それだけボールを奪われるリスクや反則をするリスクも高まります。最近のトレンドでは、ダラダラと攻め続けるよりも、少ないフェイズ数で決定的なチャンスを作る「効率性」が重視される傾向にあります。

キックを使ったフェイズの再構築

攻撃が行き詰まったとき、あえてボールを相手の背後に蹴り込むキックを使うことがあります。これは「攻撃の放棄」ではなく、新しいフェイズを作り出すための戦術です。

キックで相手を走らせて陣形を崩し、そのボールを再獲得できれば、崩れた状態から新しい「フェイズ1」を始めることができます。手詰まりのままフェイズを重ねるよりも、キックで状況をリセットする方が、結果的にトライに近い場合があります。

観戦のヒント
ボールを蹴ったときは「逃げた」と思わず、「相手を崩し直そうとしているんだな」と見てみましょう。その後のボールの追いかけ方や再獲得の瞬間に注目です。

観戦時に注目したいフェイズ数の目安

試合観戦中は、だいたい「5フェイズ」から「7フェイズ」あたりに注目してみてください。このくらい続くと、ディフェンス側に疲れやズレが見え始め、試合が動きやすくなります。

また、10フェイズを超えてくると、スタジアムの観客も「おっ、長く続いているな」と感じ始め、手拍子が起きたり歓声が大きくなったりします。この高揚感もラグビー観戦の醍醐味です。

まとめ:フェイズとは攻撃の継続!数に注目して観戦しよう

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーの「フェイズ」について詳しく解説してきました。フェイズとは、タックルとラックによって区切られる攻撃の単位であり、これを重ねることで相手ディフェンスを崩し、トライへの道筋を作り出す重要なプロセスです。

ボールが動いている間、選手たちは「いかに速くボールを出すか」「どこで相手を崩すか」を常に考えながら、激しいコンタクトを繰り返しています。攻撃側がリズム良くフェイズを重ねているのか、それとも守備側が強力なタックルでフェイズを寸断しているのか。この攻防のバランスを見るだけで、どちらのチームが試合の主導権を握っているかが分かるようになります。

次回の観戦では、ぜひ画面上のフェイズカウンターや実況の声に耳を傾けながら、「今、何フェイズ目かな?」「ディフェンスが崩れてきたかな?」と注目してみてください。きっとこれまで以上に、ラグビーの奥深さと興奮を味わえるはずです。

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