オフサイドラインとは?ラグビー観戦がもっと楽しくなる見えない線のルール

オフサイドラインとは?ラグビー観戦がもっと楽しくなる見えない線のルール
オフサイドラインとは?ラグビー観戦がもっと楽しくなる見えない線のルール
ルール・用語・反則

ラグビーの試合を見ていると、選手たちが横一列に綺麗に並んでディフェンスをしている光景をよく目にしませんか?あるいは、レフリーが笛を吹いて「オフサイド!」と告げたとき、何が起きたのか分からず戸惑ったことはないでしょうか。

ラグビーにはたくさんのルールがありますが、その中でも最も重要で、かつ試合の面白さを左右するのが「オフサイドライン」という概念です。これはグラウンドには描かれていない「見えない壁」のようなもので、選手たちは常にこの線を意識しながら戦っています。

このオフサイドラインを理解すると、なぜ選手があの位置に立っているのか、なぜ攻防があんなに激しくなるのかが手に取るように分かるようになります。今回は、初心者の方にも分かりやすく、ラグビーのオフサイドラインについて徹底的に解説していきます。

  1. オフサイドラインとは何か?基本的な概念を知ろう
    1. 見えない壁!オフサイドラインの定義
    2. なぜ必要なの?ルールの目的と重要性
    3. プレーによって変わる!ラインが移動する仕組み
    4. 違反するとどうなる?ペナルティの種類
  2. 密集戦でのルール!ラックとモールにおけるオフサイドライン
    1. 「最後尾の足」が基準!ラックの時のライン
    2. ゲートとは?ラックに参加する際の入り口
    3. モールの形成とオフサイドラインの位置
    4. ピラーとポスト!ディフェンス側の立ち位置
  3. セットプレーの決まり事!スクラムとラインアウト
    1. スクラム時のバックスのラインはどこ?
    2. スクラムハーフ同士の駆け引きとライン
    3. ラインアウト参加者以外の「10メートル」ルール
    4. ラインアウト終了の合図とラインの消滅
  4. キックの時の注意点!プレー中のオフサイドライン
    1. キッカーより前にいる選手は「オフサイド」
    2. 10メートルサークル(10メートル法)の適用
    3. オンサイドになるための条件と動き
    4. オープンプレーでのボールキャリアとライン
  5. 審判はどう見ている?オフサイドラインの判定基準
    1. 副審(アシスタントレフリー)の重要な役割
    2. 「ノット・ロール・アウェイ」との関連性
    3. 故意か偶然か?アドバンテージの適用
  6. オフサイドラインとは試合を面白くする要素!まとめ

オフサイドラインとは何か?基本的な概念を知ろう

ラグビーのルールの中で、最も頻繁に耳にする言葉の一つが「オフサイド」です。サッカーにもオフサイドはありますが、ラグビーのそれは少し性質が異なります。まずは、この「見えない線」の正体について、基本的なところから紐解いていきましょう。

見えない壁!オフサイドラインの定義

オフサイドラインとは、簡単に言えば「両チームの陣地を分ける境界線」のことです。この線はグラウンドに白線として引かれているわけではなく、プレーの状況に合わせて刻一刻と移動する「架空のライン」です。原則として、このラインは常に相手のゴールラインと平行に引かれます。

ラグビーの大原則として、「ボールを持っている味方選手より前(敵陣側)にいる選手はプレーに参加できない」というものがあります。これをさらに厳密に定め、チーム全体としての守る位置や攻める位置を規定するのがオフサイドラインです。このラインより前(相手側)に出てプレーに関与してしまうと、オフサイドの反則となります。

つまり、ディフェンス側の選手にとってオフサイドラインとは、「これ以上前に出てはいけない限界の線」であり、攻撃側にとっては「ここまでは相手が迫ってこない安全地帯」とも言えます。この見えない壁があるおかげで、秩序ある攻防が成立するのです。

なぜ必要なの?ルールの目的と重要性

もしオフサイドラインがなかったら、ラグビーはどのようなスポーツになってしまうでしょうか?極端な話、ディフェンスの選手は相手のパスを妨害するために、相手チームの真後ろに立って待ち伏せをしても良くなってしまいます。これではボールをつないで前に進むというラグビーの面白さが完全に失われてしまいます。

オフサイドラインが存在することで、ディフェンス側は必ず「壁」のように一面に並ぶことになります。攻撃側はその壁の隙間を突いたり、力づくでこじ開けたり、あるいはキックで背後を狙ったりと、様々な戦術を駆使して前進を試みます。

つまり、オフサイドラインは「攻撃側のためのスペース」を保証するためのルールとも言えます。適度な距離が保たれることで、パスを回す時間や走るスペースが生まれ、観客を魅了するダイナミックなプレーが可能になるのです。このルールがあるからこそ、ラグビーは格闘技のような激しさと、チェスのような知的な駆け引きが同居するスポーツになっています。

プレーによって変わる!ラインが移動する仕組み

サッカーのオフサイドラインは、守備側の最後尾の選手によって決まりますが、ラグビーの場合は「ボールの位置」や「プレーの局面」によって基準がコロコロと変わります。これが初心者の方にとって少しややこしく感じるポイントかもしれません。

例えば、誰かが走っているだけのオープンプレー(一般的な局面)では、ボールを持っている選手そのものが基準になります。しかし、タックルが起きて選手が倒れ、密集(ラック)ができると、今度はその密集の最後尾が基準になります。さらにスクラムやラインアウトといったセットプレーでは、そこから5メートルや10メートル下がった場所がラインになることもあります。

このように、オフサイドラインは試合中に何度も「生成」と「消滅」を繰り返し、そのたびに位置が移動します。選手たちは激しいコンタクトを行いながらも、常に「今のラインはどこか?」を瞬時に判断し、ポジションを修正し続けているのです。この目まぐるしいラインの移動についていけるようになると、観戦レベルが一気に上がります。

違反するとどうなる?ペナルティの種類

オフサイドラインを越えてプレーに関与してしまうと、「オフサイド」という反則になります。ラグビーにおいてオフサイドは「重い反則」に分類されます。レフリーは腕を高く上げ、違反があった地点で相手チームにペナルティを与えます。

ペナルティを与えられた相手チームには、以下の3つの選択肢が与えられます。

1つ目は「ペナルティキック」です。ゴールポストを狙ってキックし、成功すれば3点が入ります。

2つ目は「タッチキック」です。ボールを外に出して、大きく陣地を挽回した位置からのマイボールラインアウトで再開できます。

3つ目は「スクラム」の選択、あるいはそのままボールを持って攻める「タップキック」です。

たった一人が数センチだけラインを越えてしまっただけで、相手に3点を献上したり、自陣ゴール前まで攻め込まれたりする原因になります。そのため、選手たちは「オンサイド(プレーして良い位置)」を守ることに命を懸けているのです。規律を守れるかどうかが、勝敗を分ける大きな要因となります。

密集戦でのルール!ラックとモールにおけるオフサイドライン

試合中、タックルが成立して選手が倒れ、その上でボールを奪い合う「ラック」という状態が頻繁に発生します。また、立ったままボールを囲んで押し合う「モール」という状態もあります。この密集戦こそ、オフサイドラインが最も重要になる局面です。

「最後尾の足」が基準!ラックの時のライン

タックル後の密集戦である「ラック」が形成された瞬間、新しいオフサイドラインが出現します。その基準となるのは、ラックに参加している選手の中で「一番後ろにいる選手の、一番後ろの足」です。これを「ハインドモスト・フット(Hindmost Foot)」と呼びます。

想像してみてください。選手たちが折り重なっている密集を真上から見たとき、自チーム側の一番端っこにいる選手の足元に、ゴールラインと平行な線を引きます。これがその瞬間のオフサイドラインです。ディフェンス側の選手は、この線よりも後ろに下がって待機しなければなりません。

もし、この線よりも前に出て待ち構えていたり、横から入り込んでボールを奪おうとしたりすると、即座にオフサイドとなります。レフリーは密集を真横から見ていることが多いですが、それはこの「最後尾の足」を厳密にチェックするためなのです。

ゲートとは?ラックに参加する際の入り口

ラックには、新たに参加して味方を助けたりボールを押し込んだりすることができます。しかし、どこからでも入っていいわけではありません。ラックに参加するためには、必ず「ゲート(門)」を通らなければならないというルールがあります。

ゲートとは、ラックの幅(横幅)のことで、自分のチーム側の後方にある入り口のことです。選手は必ず自分のチームの陣地側から、正対してラックに入らなければなりません。横から入ったり、相手側から回り込んで入ったりすることは禁止されており、これらもオフサイドの一種(サイドエントリー)として扱われます。

まるで駅の改札口を通るように、決められた入り口から入らなければならないのです。これは選手の安全を守るためでもあります。横から無防備な選手にタックルが入ると大きな怪我につながるため、ルールで厳しく規制されています。正しい位置から、正々堂々と押し合うことが求められます。

モールの形成とオフサイドラインの位置

モールとは、ボールを持った選手を中心に、両チームの選手が立ったまま密着して塊となり、押し合いへし合いしている状態のことです。よくラインアウトからボールをキャッチした後に作られます。このモールにおいても、オフサイドラインの考え方はラックとほぼ同じです。

モールのオフサイドラインも、モールに参加している味方の最後尾の選手の足が基準になります。モールはラックと違ってゴゴゴゴと動いていくため、このオフサイドラインもモールと一緒に移動します。ディフェンス側の参加していない選手は、モールの動きに合わせてじりじりと下がらなければなりません。

ここでよくある反則が、モールが押されているのに下がるのが遅れて、モールの横に立ってしまうことです。参加していない選手は常に「最後尾」より後ろにいなければならないため、モールが前進すればするほど、ディフェンス側は不利な体勢を強いられることになります。

ピラーとポスト!ディフェンス側の立ち位置

ラックやモールの周辺を守るディフェンスの選手には、特別な呼び名があります。ラックのすぐ脇に立つ選手を「ピラー(柱)」、その一つ外側に立つ選手を「ポスト」と呼びます。彼らはオフサイドラインギリギリに立ち、相手の攻撃に備えます。

ピラーとポストの役割は非常に重要です。相手のスクラムハーフやフォワードの選手が、ラックのすぐ脇(サイド)を突いてくるのを防ぐ「最初の防波堤」だからです。しかし、彼らは最もオフサイドを犯しやすい位置にもいます。

相手の攻撃を食い止めたい一心で、ボールが出る前にフライングして前に飛び出してしまったり、ラックから手が離れていないのに前に出たりしてしまうことがあります。観戦中は、このラックの両脇に立つ選手たちが、我慢強くラインを守れているかどうかに注目してみてください。彼らの忍耐力がチームのディフェンス力を支えています。

知っておくと通なポイント

ラックからボールが出た瞬間、オフサイドラインは消滅します。この瞬間、ディフェンス側の選手たちは一斉に前に飛び出してプレッシャーをかけます。この「出た瞬間」を見極める反射神経も、トップ選手には求められます。

セットプレーの決まり事!スクラムとラインアウト

試合の再開方法であるスクラムやラインアウトは「セットプレー」と呼ばれます。ここでは、オープンプレーとは異なる独特なオフサイドラインの距離が設定されています。特にバックスの選手たちにとっては、この距離が攻撃の命綱となります。

スクラム時のバックスのラインはどこ?

フォワードの選手たちがスクラムを組んでいるとき、バックスの選手たち(スクラムに参加していない選手)はどこに立っているでしょうか?よく見ると、スクラムから少し離れた位置に立っていますよね。実はここには「5メートル」という厳格なルールが存在します。

スクラムにおけるオフサイドラインは、スクラムの最後尾(通常はナンバーエイトの足元)から「5メートル下がった線」になります。ディフェンス側のバックスも、アタック側のバックスも、この5メートルの距離を保たなければなりません。

なぜ5メートルも離れるのでしょうか?それは、スクラムからボールが出た直後に、バックスがスピードに乗って攻撃を仕掛けるためのスペースを確保するためです。もしスクラムの真横にディフェンスがいたら、ボールが出た瞬間に潰されてしまい、華麗なパス回しやランニングプレーが見られなくなってしまいます。

スクラムハーフ同士の駆け引きとライン

スクラムにおいて、唯一例外的な動きをするのがスクラムハーフ(背番号9)です。彼はボールをスクラムに投入し、出てくるボールを処理する役割があるため、5メートル下がる必要はありません。しかし、彼にも独自のオフサイドラインがあります。

スクラムハーフは、基本的にはボールのある位置まで進むことができます。ただし、相手側のスクラムハーフがボールを投入する際や、スクラムの反対側に回り込む際には、相手のスクラムの最前線(ボールの位置)を超えてはいけません。また、もしスクラムのそばに居続けない場合は、他のバックスと同様に5メートル下がる必要があります。

試合中、スクラムハーフ同士がお互いの体を牽制し合っているシーンが見られますが、あれは相手がオフサイドラインを越えてプレッシャーをかけてこないかを見張っているのです。小さな巨人たちの頭脳戦がそこにはあります。

ラインアウト参加者以外の「10メートル」ルール

ボールがタッチラインの外に出た時に行われるラインアウト。スローワーが投げ入れたボールを空中で奪い合う迫力あるプレーですが、ここにも特別なオフサイドラインがあります。ラインアウトに参加していない選手(主にバックス)は、ラインアウトの中心線から「10メートル」下がらなければなりません。

スクラムの5メートルに対して、ラインアウトは倍の10メートルです。この広いスペースがあることによって、ラインアウトからの攻撃は非常にダイナミックになります。バックスが勢いをつけて走り込むのに十分な距離があり、サインプレー(決められた戦術)が成功しやすくなるのです。

ディフェンス側にとっては、この10メートルを一気に詰めるダッシュ力が求められます。逆にアタック側は、この10メートルの空間をどう使うか、スタンドオフ(司令塔)の腕の見せ所となります。

ラインアウト終了の合図とラインの消滅

ラインアウトのオフサイドラインはいつ消えるのでしょうか?つまり、いつバックスの選手たちは前に出ていいのでしょうか。それは「ラインアウトが終了した」とみなされた瞬間です。

ラインアウトの終了にはいくつかの条件があります。

・ボールあるいはボールを持った選手が、ラインアウトの列から離れたとき。

・ボールが投げ入れられた後、15メートルライン(グラウンドの内側に引かれた点線)を越えたとき。

・ボールを持った選手がキャッチした後、自陣のゴールライン側にパスしたり動いたりしたとき。

特に「15メートルラインを越えたとき」は重要です。長いパスが放られたり、誰かがボールを持ってラインアウトの列から飛び出したりした瞬間、待機していた選手たちは一斉に動き出します。このタイミングを間違えると、やはりオフサイドを取られてしまいます。

レフリーの合図に注目

ラインアウトの時、副審(タッチジャッジ)は片手で旗を持ち、もう片方の手で胸の前に水平に腕を伸ばしていることがあります。これは「ここがオフサイドライン(10m線)ですよ」と選手に示しているポーズです。

キックの時の注意点!プレー中のオフサイドライン

ラグビーでは陣地を挽回したり、得点を狙ったりするためにボールをキックすることがあります。このキックの局面でも、非常に重要なオフサイドのルールが適用されます。ここを理解すると、「なぜキックの後に選手たちは足を止めるのか?」の謎が解けます。

キックに関するオフサイドは、他のプレーと違って「ボールを蹴った味方選手」が基準になります。

キッカーより前にいる選手は「オフサイド」

味方がボールをキックした瞬間、そのキッカーよりも前(相手陣地側)にいる味方選手は、全員「オフサイドの位置」にいることになります。これがキックにおける大原則です。

このオフサイドの位置にいる選手は、プレーに参加することができません。ボールを追いかけたり、相手選手を邪魔したりすることはもちろん、単に前に進むことさえ禁止されます。彼らはその場で立ち止まるか、後ろに下がらなければなりません。

よく、キックを蹴った瞬間に前方の選手たちが「万歳」のように両手を挙げるポーズをとることがあります。これはレフリーに対して「私はオフサイドの位置にいます!プレーに関与しません!」とアピールしているのです。これを怠って不用意にボールに近づくと、ペナルティを取られます。

10メートルサークル(10メートル法)の適用

キックのオフサイドには、さらに厳しい「10メートル法」というルールがあります。これは、相手選手がボールをキャッチしようとしている場所から10メートル以内にいるオフサイドの選手に適用されます。

もし味方がキックをし、そのボールが落下する地点(または相手がキャッチする地点)の半径10メートル以内に、元々前にいた(オフサイドの)味方選手がいたとします。この場合、その選手はただ立ち止まるだけでは許されません。「直ちに10メートル以上離れるまで下がる」必要があります。

相手がボールをキャッチする邪魔になりそうな場所に居座ることは、たとえ手を出さなくても「空間を占有してプレッシャーをかけた」とみなされるからです。レフリーが「バック!バック!」と叫んでいるときは、このルールが適用されていることが多いです。

オンサイドになるための条件と動き

では、キックの時に前にいた選手はずっとプレーできないのでしょうか?いいえ、ある条件を満たせば「オンサイド(プレー可能)」の状態に復帰できます。これを「オンサイド・プレーヤーになる」と言います。

最も基本的な方法は、「キッカー、またはキッカーより後ろにいた味方選手に追い越されること」です。

キックをした選手が猛ダッシュして、前にいる味方選手を追い越していけば、追い越された選手はその瞬間からプレーに参加できるようになります。そのため、キックを蹴った選手は、ボールを追うだけでなく、味方をオンサイドにする(救済する)ために全力で走るのです。

また、相手側がボールを持って5メートル走ったり、パスやキックをしたりした場合も、オフサイドは解消されます。しかし、基本的には「味方に追い越してもらうのを待つ」のがセオリーです。

オープンプレーでのボールキャリアとライン

キック以外でも、ボールを持って走っている選手(ボールキャリア)より前にいる味方はオフサイドです。例えば、パスがつながらず、味方がボールを持って突進しているとき、興奮してその選手より前で「パスくれ!」と待っていても、パスを受けることはできません(スローフォワードになりますし、そもそもオフサイドの位置です)。

ラグビーは常に「ボールの後ろ」からサポートしなければならないスポーツです。ボールキャリアがタックルされたら、すぐにその後ろに回り込んでサポートする。この「常に後ろから湧き出る」ような動きが、分厚い攻撃を生み出します。

常に「ボールより後ろ」が安全圏であると覚えましょう。

審判はどう見ている?オフサイドラインの判定基準

目に見えないラインを、レフリーたちはどのようにして判定しているのでしょうか。試合中は22人の選手(15人制なら30人)が入り乱れて動くため、すべてを見極めるのは神業に近いです。ここでは判定の裏側について少し触れてみましょう。

副審(アシスタントレフリー)の重要な役割

オフサイドラインの管理において、タッチライン沿いにいる2人のアシスタントレフリー(副審)の役割は極めて重要です。特にスクラムやラインアウトなどのセットプレーでは、主審はボールの投入やスクラムの安定性を見るのに集中するため、バックスのオフサイドライン(5mや10m)は主にアシスタントレフリーが監視しています。

彼らはオフサイドラインの真横に立ち、選手がラインを越えていないか目を光らせています。もし越えている選手がいれば、インカム(無線機)を使って主審に伝えたり、旗を振って知らせたりします。テレビ中継などで、画面の端に映る副審がどのような位置取りをしているか注目してみてください。常にディフェンスの最後尾ラインに合わせて動いているはずです。

「ノット・ロール・アウェイ」との関連性

タックル後の局面で、オフサイドとよく似た、あるいは関連する反則に「ノット・ロール・アウェイ」があります。これはタックルをした選手、またはされた選手が、倒れた後にすぐにその場から退かなかった(転がって離れなかった)という反則です。

倒れた選手がそこに居座ると、ボールが出るのを邪魔するだけでなく、守備側の選手にとっては「そこがオフサイドラインの基準(最後尾の足)」になってしまうのかどうかが曖昧になります。レフリーはスムーズなボール出しを最優先するため、倒れている選手がプレーを妨げていると判断すれば厳しく笛を吹きます。

オフサイドラインを明確にするためにも、プレーに関与しない(倒れた)選手は速やかにその場を去らなければならないのです。

故意か偶然か?アドバンテージの適用

レフリーは、オフサイドがあったからといって必ずしもすぐに笛を吹くわけではありません。「アドバンテージ」というルールがあるからです。

もしディフェンス側がオフサイドをしたとしても、アタック側がボールをキープして攻め続け、チャンスが広がっている場合は、レフリーは「アドバンテージ!」とコールしてプレーを続行させます。反則があっても、攻撃側に有利な状況なら止めない方が得だと判断するわけです。

しかし、攻撃側がミスをしてボールを失ったり、あまり前進できなかったりした場合は、レフリーは笛を吹いて時間を巻き戻し、オフサイドのあった地点でのペナルティから再開します。

「今のオフサイドは意図的で悪質だ」と判断されれば、シンビン(一時的退出)などの重い処分が下されることもあります。

レフリーとのコミュニケーション

試合中、選手がレフリーに「今のオフサイドじゃないですか?」と聞くシーンがありますが、レフリーは「オンサイド!」「チェックしてるよ」などとコミュニケーションを取っています。この対話もラグビーの面白いところです。

オフサイドラインとは試合を面白くする要素!まとめ

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーにおける「オフサイドライン」について解説してきました。最初は複雑に思えるかもしれませんが、基本はとてもシンプルです。

「ボール(または密集の最後尾)より前でプレーしてはいけない」

たったこれだけのルールが、セットプレーでの「5メートル」「10メートル」といった距離を生み、キックの時の「待機」や「全力疾走」というドラマを生み出しています。

オフサイドラインは、ラグビーというスポーツに「秩序」と「スペース」を与えるための魔法の線です。この線があるからこそ、選手たちは規律を守り、その中で激しく体をぶつけ合うことができるのです。

これからの観戦では、ぜひ選手たちの立ち位置に注目してみてください。「お、今のディフェンスはラインギリギリの素晴らしい飛び出しだ!」「あ、今のバックスは5メートル下がってスペースを作ったな」といった見方ができるようになれば、あなたはもう立派なラグビー通です。

見えない線が見えてくるようになると、ラグビー観戦の楽しさは何倍にも膨れ上がります。ぜひスタジアムやテレビの前で、この「見えない攻防戦」を楽しんでくださいね。

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