ラグビーのドロップアウト完全ガイド!再開方法と2つの種類をわかりやすく解説

ラグビーのドロップアウト完全ガイド!再開方法と2つの種類をわかりやすく解説
ラグビーのドロップアウト完全ガイド!再開方法と2つの種類をわかりやすく解説
ルール・用語・反則

ラグビーの試合を見ていると、激しい攻防の末に突然プレーが止まり、キックで試合が再開されるシーンに出くわすことがあります。特にゴール前での攻防後にレフリーが腕を上げ、守備側の選手がボールを持ってラインの後ろに下がる姿を見たことはないでしょうか。これが「ドロップアウト」と呼ばれる再開方法の一つです。

しかし、実はこのドロップアウトには「22メートルドロップアウト」と「ゴールラインドロップアウト」という2つの種類があることをご存じでしたか?さらに、よく似た状況でもスクラムになる「キャリーバック」というルールもあり、初心者の方にとっては少し複雑に感じるかもしれません。「なぜ今はスクラムじゃないの?」「どこから蹴るのが正解なの?」といった疑問を持つ方も多いはずです。

この記事では、ラグビー観戦初心者の方やルールを学び直したい方に向けて、ドロップアウトによる再開方法を基本から丁寧に解説します。2つのドロップアウトの違いや適用される具体的なシーン、そして観戦時に注目したいポイントまで、これを読めば試合の流れがより深く理解できるようになるはずです。

ドロップアウトとは?再開方法の基本を知ろう

ラグビーの試合には、スクラムやラインアウトといったセットプレー以外にも、キックを使って試合を再開する方法がいくつか存在します。その代表的なものがドロップアウトです。まずはこのプレーがどのようなものなのか、基本的な定義や仕組みについて確認していきましょう。

ドロップキックで試合を再開するルール

ドロップアウトとは、その名の通り「ドロップキック」を使って試合を再開させるプレーのことです。通常、試合の流れが止まった後に守備側のチームがボールを持ち、特定のラインの後方から相手陣地に向かってボールを蹴り込みます。これにより、攻め込まれていた守備側は陣地を回復し、再び攻撃の機会をうかがうことができます。

このときに使われる「ドロップキック」には厳格なルールがあります。ボールを手から離し、一度地面にバウンドさせてから蹴らなければなりません。サッカーのゴールキーパーが行うパントキック(手から離して地面につく前に蹴るキック)とは異なります。地面に一度ついた瞬間の難しいタイミングを捉えて蹴るため、高度な技術が必要とされます。

もしドロップキックを行わずに、地面につく前に蹴ってしまった場合は反則となり、蹴り直しや相手ボールのスクラムになってしまいます。選手たちはプレッシャーのかかる場面でも、この基本動作を正確に行うことが求められるのです。

試合の流れを変える重要なリスタート

ドロップアウトは単なる「再開の手順」ではありません。守備側にとっては、自陣ゴール前まで攻め込まれたピンチを脱出し、一気に陣地を挽回する絶好のチャンスとなります。一方で攻撃側にとっては、あと少しでトライが取れたかもしれない場面での中断となるため、非常に悔しい瞬間でもあります。

キッカーは、できるだけ遠くへ飛ばして陣地を稼ぐのか、それとも短く蹴って味方に競らせてボールを取り返すのか、瞬時に判断しなければなりません。相手チームもその意図を読み取り、ボールが蹴られる瞬間に備えてポジショニングを調整します。このように、ドロップアウトは試合の攻守が完全に入れ替わるターニングポイントになり得るのです。

再開位置は2種類あることを理解する

ドロップアウトについて理解する上で最も重要なのが、「どこから蹴るか」という点です。実は現在のラグビーのルールでは、再開位置によって以下の2種類に明確に分けられています。

1. 22メートルドロップアウト

自陣の22メートルライン上、またはその後方から蹴る方法。昔からある伝統的なルールです。

2. ゴールラインドロップアウト

自陣のゴールライン上、またはその後方から蹴る方法。2021年頃から試験導入され、正式採用された比較的新しいルールです。

この2つは名前が似ていますが、適用される条件や戦術的な意味合いが大きく異なります。観戦中に「あれ、なんで22メートルラインまで戻らないの?」と思ったときは、この「ゴールラインドロップアウト」が適用されている可能性が高いです。それぞれの違いを詳しく見ていくことで、ルールの全体像がはっきりしてきます。

補足:ドロップキックの難しさ

ラグビーボールは楕円形をしているため、地面に落としたときにどこへ跳ねるか予測がつきにくい性質があります。ドロップキックを成功させるには、ボールを落とす角度と蹴るタイミングを完璧に合わせる必要があります。プロ選手がいとも簡単に蹴っているように見えますが、実は非常に繊細な技術が詰まったプレーなのです。

「ゴールラインドロップアウト」になる具体的なケース

近年導入された「ゴールラインドロップアウト」は、現代ラグビーのスピードアップと公平性を高めるために採用されたルールです。以前であれば5メートルスクラムや22メートルドロップアウトになっていたプレーの一部が、この新しい再開方法に変更されています。どのような状況でこのルールが適用されるのか、具体的に見ていきましょう。

攻撃側がインゴールでグラウンディングできなかった場合

最も頻繁に見られるのが、攻撃側がボールを持ってインゴール(トライゾーン)に突入したものの、守備側の激しいディフェンスによってボールを地面につけられなかったケースです。これを「ヘルドアップ」と呼びます。守備側の選手がボールの下に手や体を入れて、グラウンディングを阻止した状態です。

以前のルールでは、攻撃側が持ち込んでヘルドアップになった場合、攻撃側ボールの5メートルスクラムで再開されていました。つまり、攻撃側はもう一度トライを狙うチャンスが続いていたのです。しかし、新ルールではこれがゴールラインドロップアウトに変更されました。

これにより、守備側は見事にトライを防ぎきれば、ボールを蹴り返して陣地を挽回できる権利を得られます。必死に守り切ったディフェンスへの「ご褒美」が大きくなったと言えるでしょう。観戦時には、ゴールライン際の密集でレフリーが笛を吹き、守備側がガッツポーズをしたら、このゴールラインドロップアウトになる可能性が高いと考えてください。

攻撃側のキックを守備側がインゴールで押さえた場合

試合の流れの中で、攻撃側が裏のスペースを狙ってパントキックやグラバーキック(ゴロキック)をインゴールへ蹴り込むことがあります。このボールに対し、守備側の選手が先に追いついてインゴール内でグラウンディング(タッチダウン)した場合も、ゴールラインドロップアウトとなります。

かつてはこのケースでは22メートルドロップアウトが適用されていました。守備側にとっては22メートルラインまで前に出て大きく陣地を回復できたのですが、ルール変更により、ゴールラインからの再開となりました。これは守備側にとって以前より少し不利な変更と言えます。

ゴールラインからのキックでは、ハーフウェイライン付近まで飛ばすのがやっとという場合も多く、相手にカウンターアタックを仕掛けられるリスクが高まります。そのため、守備側はあえてドロップアウトにせず、インゴールからパスをつないで攻め返す選択をすることもあります。

インゴールでのノックオンが発生した場合

攻撃側の選手がインゴール内でボールをキャッチしようとしてファンブルし、前に落としてしまった場合(ノックオン)。通常、フィールド内でのノックオンは相手ボールのスクラムになりますが、インゴール内で攻撃側がノックオンした場合は、ゴールラインドロップアウトで再開されます。

これは、スクラムを組む時間を短縮し、試合のテンポを落とさないための工夫です。スクラムは組むまでに時間がかかることが多いため、キックでの再開にすることで、よりスピーディーな展開が期待されています。

ただし、守備側の反則によってアドバンテージが出ている場合などは、ペナルティキックなどが優先されることもあります。あくまで「通常のプレーの流れで攻撃側がミスをした場合」の処理として覚えておくと良いでしょう。

ここがポイント!

ゴールラインドロップアウトの導入により、ゴール前の攻防で「とにかく突っ込んでヘルドアップでもスクラムがもらえる」という攻撃側のメリットがなくなりました。攻撃側はより確実にグラウンディングする技術が求められ、守備側はボールを地面につけさせない技術の価値が上がっています。

「22メートルドロップアウト」になる具体的なケース

次に、伝統的な「22メートルドロップアウト」について解説します。こちらは自陣の22メートルライン(ゴールラインから22メートル離れた線)まで戻って再開できるため、守備側にとっては陣地を大きく回復できる非常に有利な再開方法です。どのような条件でこのプレーが選択されるのでしょうか。

ペナルティゴールやドロップゴールが失敗した時

現在、22メートルドロップアウトが発生する最も代表的なケースは、攻撃側が得点を狙ったキックを外したときです。具体的には以下の2つのパターンがあります。

・ペナルティキックでゴールを狙ったが外れ、ボールがデッド(ラインの外に出る)になったり、守備側がインゴールで押さえたりした場合。
・ドロップゴール(プレー中のドロップキックによる得点)を狙って失敗し、同様にボールがデッドまたは守備側に押さえられた場合。

このように「得点を狙うキック」が失敗した場合は、守備側が大きく陣地を戻して22メートルラインからの再開となります。攻撃側にとっては、得点のチャンスを逃した上に相手に陣地を回復されてしまうため、ダブルパンチのようなダメージとなります。

22メートルラインからの戦術的な選択

22メートルドロップアウトは、守備側にとって大きなチャンスです。22メートルライン上からキックを行えるため、うまく蹴ればハーフウェイラインを大きく越えて敵陣深くまでボールを飛ばすことができます。これにより、一気に守勢から攻勢へと転じることが可能です。

また、キッカーは必ずしも遠くへ蹴る必要はありません。わざと短く高く蹴り上げ(ショートパント)、味方選手を走らせて空中で競り合い、ボールの再獲得(リゲイン)を狙う戦術も頻繁に見られます。このプレーはリスクも伴いますが、成功すれば一気に敵陣で攻撃を開始できるため、試合の流れを大きく変える「奇襲」として使われることもあります。

通常のキック処理との混同に注意

先ほどのセクションで説明した通り、攻撃側の「普通のパントキック」や「グラバーキック」をインゴールで押さえた場合は、現在はゴールラインドロップアウトになります。ここが非常に間違いやすいポイントです。

昔のルールや知識のままだと、「インゴールで抑えたから22メートルまで戻れる!」と思ってしまいがちですが、現在はキックの種類(得点を狙ったものか、そうでないか)によって再開位置が変わります。「得点失敗なら22メートル、普通の攻撃キックならゴールライン」と整理して覚えておくと、観戦時に混乱せずに済みます。

間違いやすい「キャリーバック」との違い

ドロップアウトと非常によく似た状況でありながら、全く異なる再開方法となるのが「キャリーバック」です。初心者の方が最も混乱しやすいルールの一つですので、ここでしっかり区別しておきましょう。

守備側が自ら持ち込んだ場合は「5メートルスクラム」

ドロップアウトになる条件は、「相手(攻撃側)がボールをインゴールへ入れた」ことです。これに対し、守備側のチームが自分たちでボールをインゴールへ持ち込んだり、パスを回してインゴールに入れてしまったりすることを「キャリーバック」と呼びます。

もし守備側がキャリーバックをして、その後に自らグラウンディング(タッチダウン)してプレーを切った場合、ドロップアウトにはなりません。この場合の再開方法は、「ゴールラインから5メートルの地点での相手ボールスクラム」となります。

これは守備側にとって非常に厳しいペナルティです。自陣ゴール目前で相手にボールを渡し、しかもスクラムという攻撃側に有利な形での再開となるため、大ピンチを招くことになります。そのため、選手たちは自陣深くでボールを処理する際、うっかりインゴールに入ってしまわないよう細心の注意を払っています。

「誰がボールを入れたか」が見分ける鍵

ドロップアウトかキャリーバックかを見分ける最大のポイントは、「最後にボールをインゴールへ送ったのはどちらのチームか?」という点です。

攻撃側が入れた場合

→ ドロップアウト(22mまたはゴールライン)で再開。
守備側にとっては「ナイスディフェンス」となり、陣地を回復できます。

守備側が入れた場合

→ 5メートルスクラム(相手ボール)で再開。
守備側にとっては「ミス判断」となり、ピンチが継続します。

例えば、相手のキックをフィールド内でキャッチした後、相手のタックルを避けようとして後ろに下がり、インゴールに入ってからタッチダウンした場合はキャリーバックです。一方で、相手のキックをインゴール内で直接キャッチしてタッチダウンすればドロップアウトです。この「ラインを越える前か後か」の微妙な違いが、その後の展開を天国と地獄ほどに変えてしまうのです。

ドロップアウトの実行ルールと反則

最後に、実際にドロップアウトを行う際の手順やルール、そして失敗した場合の処理について解説します。再開のキックがうまくいかないと、さらに不利な状況に追い込まれてしまうこともあります。

蹴る位置と相手チームの立ち位置

ドロップアウトを行う際、キッカーは指定されたライン(22メートルラインまたはゴールライン)上のどこからでも蹴ることができます。通常はラインの後方に下がって助走をつけますが、ボールをインパクトする(蹴る)位置はライン上またはラインの後方でなければなりません。

一方、相手チーム(攻撃側だったチーム)にも立ち位置のルールがあります。22メートルドロップアウトの場合は22メートルラインよりも向こう側、ゴールラインドロップアウトの場合は5メートルライン(ゴールラインから5メートル離れた線)よりも向こう側にいなければなりません。キックが行われる前にこのラインを越えてチャージ(妨害)しようとすると、オフサイドの反則やフリーキックなどが与えられます。

必ず越えなければならない距離

ドロップアウトで蹴られたボールは、必ず一定の距離を越えなければインプレー(試合続行)とは認められません。

・22メートルドロップアウトの場合:
22メートルラインを越える必要があります。
・ゴールラインドロップアウトの場合:
ゴールラインから5メートルラインを越える必要があります。

もしキックミスなどでボールがこのラインを越えなかった場合、相手チームには以下の選択肢が与えられます。
1. ドロップアウトのやり直し
2. 蹴った地点でのスクラム(相手ボール)

多くの場合はスクラムが選択され、守備側は自陣でのスクラムという不利な状況になってしまいます。

直接タッチに出た場合(ダイレクトタッチ)

ドロップアウトで蹴ったボールが、地面にバウンドせずに直接タッチラインの外に出てしまった場合(ダイレクトタッチ)、これは大きなミスとなります。この場合、相手チームには以下の3つの選択肢が与えられます。

1. ドロップアウトのやり直し
2. 蹴った地点でのスクラム(相手ボール)
3. ボールが出た地点でのラインアウト(相手ボール)

特にゴールラインドロップアウトでダイレクトタッチをしてしまうと、ゴール前5メートル付近での相手ボールスクラムやラインアウトを選ばれることが多く、再びトライの危機に直面することになります。そのため、キッカーは「遠くへ飛ばしたい」という気持ちと「絶対にタッチに出してはいけない」というプレッシャーの中でキックを行っているのです。

まとめ:ドロップアウトの再開方法を整理して観戦を楽しもう

まとめ
まとめ

今回は、ラグビーにおける「ドロップアウト」の再開方法について、その種類やルールの違いを詳しく解説してきました。最後に改めてポイントを整理しておきましょう。

まず、ドロップアウトには伝統的な「22メートルドロップアウト」と、近年導入された「ゴールラインドロップアウト」の2種類があります。再開する位置が異なるだけでなく、適用される場面も明確に分かれています。

ペナルティゴールやドロップゴールの失敗など、得点を狙ったプレーの後には「22メートルドロップアウト」が適用され、守備側は大きく陣地を回復するチャンスを得ます。一方で、攻撃側がインゴールでグラウンディングできなかった(ヘルドアップ)場合や、攻撃のパントキックを処理した場合などは「ゴールラインドロップアウト」となり、ゴールライン上からの再開となります。

また、守備側が自らボールを持ち込む「キャリーバック」との違いを理解することも重要です。この場合はドロップアウトではなく、相手ボールの5メートルスクラムという大ピンチになります。「誰がボールを入れたか」を見極めることで、レフリーの判定を先読みできるようになります。

ドロップアウトは、試合の流れが一度リセットされ、攻守が入れ替わる重要な瞬間です。キッカーがどのように蹴るのか、相手チームがどう反応するのかに注目することで、ラグビー観戦の面白さがさらに深まることでしょう。ぜひ次の試合観戦では、この「再開のキック」に注目してみてください。


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